研究課題
現実の地球において観測されるマッデン・ジュリアン振動(MJO)の東進をよく再現する全球雲解像モデルNICAMによる数値計算の結果を用いて、MJOを変質させうると指摘されている環境場の代表的な要素についての解析を進めた。前年度までの結果から、MJOの対流活発域に生じる相関規模の渦擾乱の下層風に伴う海面からの潜熱供給がMJOの東進速度に大きく左右するが故に、渦擾乱の再現性にも影響するモデル水平解像度への依存性の大きな原因となっていることが示唆されていた。MJOの環境場のうち海面水温の東西構造の違いがこの効果を強める可能性が考えられたが、関連する課題との共同で実施した大規模なアンサンブルMJO実験において、異なる東進特性を持つMJO事例間で海面水温の東西構造を取り替えた実験を行うとMJO東進の確率分布もほぼ入れ替わることが確認された。また、東進が早いか遅いか分岐するような確率分布を有するMJO事例においては、中緯度のロスビー波の屈折が起こるかどうかが東進速度を左右することがわかった。関連する課題との共同で実施した、220 km および 14 kmの水平解像度に設定したNICAMによる水惑星15年実験の結果から、MJOだけでなく環境場自体の温度・水蒸気構造もまた水平解像度への依存性が大きいことが示された。本研究の設定においては高解像度の実験結果の方が雲被覆が小さく、暖かく大気中の水蒸気量の多い背景場となっていた。このような傾向の地軸傾斜角(0°, 23.5°, 45°, 60°)への依存性も確認された。さらに、水惑星実験において対流圏中層にトップを持つ比較的浅い対流に伴う運動量輸送の効果を異なるモデル間で比較する国際プロジェクトに参加し、NICAMによる実験データ作成の一部を担当した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 10件、 招待講演 5件)
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II
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The Astrophysical Journal
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