現実の地球において観測される、熱帯域を数週間から2ヶ月程度の時間スケールで東進して地球全体の気象・気候に大きな影響をもたらすマッデン・ジュリアン振動(MJO)について、その性質が環境場からどのように影響を受けているのかを調べた。MJOの東進を良く再現することで知られる全球雲解像モデルNICAMに水惑星と呼ばれる全球海洋にした理想的な設定を与えることで現象の本質部分を取り出して調べ、さらに現実的な設定での実験とも比較した結果、海面温度の東西差がMJOの東進において重要であること、また対流活発域に生じる相関規模の渦擾乱に伴う海面からの潜熱供給によりその効果が強められることを明らかにした。
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