研究課題/領域番号 |
19K03968
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉森 正和 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (20466874)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 地球温暖化 / 気候フィードバック / 気候モデル / 上層雲 |
研究実績の概要 |
研究課題名にあるように、温暖化基礎理論の構築に向けた研究の一環として、気候フィードバック間の連動性の解明が期待される。本研究では、熱放射応答、水蒸気フィードバック、上層雲の高度フィードバックの関連性について議論し、初年度(2019年度)においてすでにそれらを一括りにまとめた定式化をYoshimori et al. (2020)で提唱している。2020年度には、対流パラメタリゼーション自体とそれに関連するパラメータを変化させた実験を組み合わせることによって連動性の検証に使うための気温減率フィードバックのばらつきを得ることに成功した。2021年度は、これらの結果の解析とともに、気候フィードバック間の連動性を活用して、現在気候から何がどこまで理論的考察に基づいて説明(予測)しうる部分なのかについて調べた。特に、PoChedley et al. (2019)を参考に、当初考えていた湿潤断熱減率を用いる方法よりも洗練された、希釈湿潤断熱減率(Romps et al., 2016)(エントレインメントによって空気塊が周囲の大気によって希釈される効果を考慮)を適用することによって、得られた気温減率フィードバックのばらつきを現在気候からある程度定性的に説明できることがわかった。一方で、気温の鉛直構造の変化と雲フィードバックの連動性を検証する過程の中で、より明瞭な解釈を得るためには、気温減率フィードバックのばらつきを生じる単一パラメータのみを系統的に走査する追加実験と定量化のための検証実験の必要性を認識した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要にあるように、解析の進展にともなって、より明瞭な解釈を得るために、追加実験等の必要性を認識した。また、新型コロナウイルス感染症の影響で、海外の協力研究者との議論がオンラインを通しての限定的な形でしか行われなかった。加えて、これまで使用してきたスーパーコンピュータの更新や利用形態の変更のため、実験準備や再現性の確認を含め、対応のための作業が予想以上に増加した。
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今後の研究の推進方策 |
追加実験と解析を行い、本課題で提唱してきた気候フィードバック間の連動性についてロバスト性を検証し、また、理論的考察に基づいた予測可能性について検証実験を通じて定量的な評価を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析の進展に伴って、より明瞭な解釈を得るために、追加実験等の必要性を認識したため、当初計画していた研究期間3年を超えて延長する。新型コロナウイルス感染症の影響で旅費の執行が当初計画と異なり、当初計画から差額が生じた。次年度において旅費として使用する計画である。
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