これまでの研究では気候変動に伴う水蒸気や雲などの放射効果は別々に特定されることが多く、その関連性についてはあまり注目されてこなかった。そこで本研究では、気候フィードバック過程間の連動性の解明を目的とした。まず、理論的な考察に基づいて発案した新しい気候フィードバックの定式化の有効性を、大気大循環モデルを用いて示した。次に、熱帯対流圏上層の雲頂温度は大局的には温暖化の前後で不変であるというFAT理論(及びそれに修正の加えられたPHAT理論)の気候フィードバックにおける意味について、全く新しい視点から再解釈を与えた。さらに、現在気候場からの温暖化時の雲フィードバックの「予測可能性」について議論した。
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