研究課題/領域番号 |
19K03978
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研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
碓氷 典久 気象庁気象研究所, 全球大気海洋研究部, 主任研究官 (50370333)
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研究分担者 |
広瀬 成章 気象庁気象研究所, 全球大気海洋研究部, 研究官 (20748074)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 黒潮 / 沿岸水位 / 沿岸捕捉波 / 急潮 |
研究実績の概要 |
黒潮が沿岸域に及ぼす影響として、異常潮位と急潮に着目した解析を進めた。2011年に日本南岸で発生した異常潮位は、房総半島沖の黒潮流路変動により生じた沿岸補足波が主要因であることが分かった。また、1971年に関東・東海地方を中心に発生した異常潮位は、東海沿岸にで黒潮が接近したことと、日本南岸を東進した台風により生じた沿岸捕捉波の伝播の2つの要因で説明されることが分かった。さらに、長期再解析データを用いた沿岸水位の解析から、日本の沿岸水位のEOF第1モードは、日本沿岸全域が同位相で変動し、特に日本南岸で大きな振幅を持つこと、さらにこのモードは、2011年の異常潮位と同様に黒潮により生じた沿岸捕捉波の伝播により説明されることが分かった。次に、2017年9月に室戸岬東部で観測された急潮のメカニズムについて調べた。感度実験から、この急潮には、黒潮上を伝播してきた小規模擾乱により室戸岬沖で形成された西向き流が関与していることが分かった。また、擾乱に伴う西向き流が、室戸岬沖の海台上で局所的に流速が強化するプロセスの重要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
黒潮が沿岸域に及ぼす影響については、多くの知見が得られ、当初予定通りに進んでいる。一方で、これまで進めて来た東シナ海の黒潮と表層水温および海面フラックスの関係については、取りまとめまでに更なる解析が必要である。これらを総合して、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度実施した、黒潮が沿岸域に及ぼす影響に関する成果について論文にまとめる。また、東シナ海の黒潮と表層水温の長期変化について、観測データを中心にさらに解析を進め、モデル結果との整合性について調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた外国出張がCOVID-19の影響ですべてオンライン開催となったため、次年度繰り越しとした。繰り越し分は、主に論文投稿料や英文校閲料、および旅費に使用する予定である。
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