研究実績の概要 |
本研究では、海洋における微量金属の循環において沈降粒子が果たす役割に注目し、北太平洋の東経175度ラインに沿って実施されたセジメントトラップ試料及び直下で採取された表層堆積物の元素分析を行い、微量金属フラックスとその変動要因を明らかにする。さらに、特に生物の必須微量金属として重要な鉄の同位体分析を行って、海洋の物質鉛直輸送に伴う鉄の生物地球化学的プロセスを解明することを目的とする。これまでに、セジメントトラップ試料のバルク元素分析を行い、Site 6(30°N, 亜熱帯海域)、Site 7(37°N, 遷移帯海域)、Site 8(46°N, 亜寒帯海域)における沈降粒子構成成分と元素組成の関係を明らかにした。今年度は、存在形態別に元素分析を行うための逐次溶解法について検討を行った。全粒子束が低い地点にも適用するため、産総研地球化学標準試料を用い、少量で精度良く分析するための検討実験を実施した。また、鉄安定同位体比の分析に着手し、化学分離ルーチンを構築するとともに、標準試料の測定を行い十分な精度が得られることを確認した。
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