有珠山の形成史と洞爺カルデラに関する多くの新知見が得られ,学術的な意義は大きい.有珠山は1万9千年前に活動を開始し,安山岩質成層火山を形成した後,約3000年以内に山体崩壊した.有珠山の崩壊は,有珠山の基盤をなす洞爺火砕流堆積物が脆弱であり,その上に成層火山が形成されていることに起因する.また,有珠山の東丸山潜在ドームが1663年の寛文噴火で形成されたことを解明できた.本研究は有珠山の防災を進める上で極めて重要である.洞爺カルデラ全体では,洞爺火砕流堆積物の下位から未知の火砕流堆積物を発見し立香火砕流堆積物と命名した.この立香火砕流堆積物は洞爺カルデラの長期的な進化を考える上で重要である.
|