研究課題
基盤研究(C)
日本周辺の海域から採取された海底熱水鉱床試料中の含銅鉱物の銅同位体組成は、先行研究で報告されている現世の海底熱水鉱床において高い頻度で産出する各種含銅鉱物の同位体組成の範囲に含まれた。これらの試料は、続成作用や広域変成作用の影響を強く受けていないことから、その同位体組成は初生的な情報を保持していると考えられる。含銅鉱物の鉱物組織・産状と銅同位体組成との比較から、これらの鉱物の晶出に関与した母岩起源の銅を含む熱水の流路の推定を行うことができた。
鉱床学・地球化学・火山学
本研究の結果から、海底熱水鉱床試料に含まれる様々な大きさの各種含銅鉱物の銅同位体組成は、鉱物組織(産状)と詳細に比較することで、銅の起源のみならず、これらの鉱物の晶出に関与した熱水の流路を評価・推定する指標になり得ると考えられる。これらの基礎的な情報は、ある海底熱水変質域中の鉱化流体の広がり(鉱量)や鉱床の品位の評価につながる可能性が高いことから、海底熱水鉱床の探査や開発に役に立つことが期待される。