研究課題/領域番号 |
19K03990
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
小嶋 智 岐阜大学, 工学部, 教授 (20170243)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 山体重力変形地形 / 火山灰層序学 |
研究実績の概要 |
2020年度には,地すべりと山体重力変形地形の関係について検討した.具体的には静岡市の口坂本地すべりの活動とその上部にみられる山体重力変形地形の活動を検討した.その結果,長い間(おそらく数千年)安定して存続してきた稜線上の二重山稜地形は,その直下の斜面が不安定化し地すべりを起こしてもほとんど影響を受けないことが明らかとなった.また,岐阜県郡上市奥田洞の地すべりは2018年度と2020年度の2回活動しているが,1回目の地すべりの後,滑落崖の上部が不安定化し,斜面上部に重力変形地形の1種と考えられる亀裂が形成され,その直後に,2020年度の崩壊が発生したことが明らかとなった. 2020年度には火山地帯の山体重力変形地形の発達過程を明らかにするために不可欠な新たな年代指標の作成に取り組んだ.具体的には,北アルプス南部の活火山である焼岳の最後のマグマ噴火によって形成された中尾火砕流に伴うテフラの特徴を明らかにした.特に含まれる火山ガラスの化学組成を明らかにし,それによってテフラの同定を行うことを試みた.本研究成果は2021年9月の国際会議(5th International Workshop on Rock Mechanics and Engineering Geology in Volcanic Fields)で発表予定である. 2019年度から開始したスプレッド型地すべりの研究については,コロナ禍の波を睨みながら時期を選び,福島県と長崎県で野外調査を実施した.その結果,長崎県のスプレッド型地すべりは人口改変が進んで調査が難しいが,福島県のものは調査解析に適していることがわかった. 2020年度に予定していた,スイスにおける山体重力変形地形の調査は,コロナ禍のため中止せざるを得なかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の主要な部分は野外調査であるが,コロナ禍のため海外に出かけることが困難となり,また,国内出張も大学から制限がかかり,あまり調査ができず,やや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
この報告書を執筆している2021年4月現在,新型コロナウィルス感染症の第4波が日本を襲っており,遠隔地における野外調査や遠隔地の大学における機器分析が難しい状況が続いている.今後も同様な状況が続くことが予想され,コロナ禍の波を見ながら,本研究の中核を担う野外調査を行なっていくしかないと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に予定していたスイスアルプスの山体重力変形地形調査が,コロナ禍のため実施できなかった.そのために次年度使用額が生じた.2021年度には,長期調査を実施し,去年の遅れを取り戻したい.そのために,次年度使用額となった補助金を使用する.
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