原子力規制庁が掘削したボーリングコアを用いて、根尾谷断層の地下浅部破砕帯において各種分析を行った。断層ガウジ帯全体ではスメクタイト・方解石が検出されるとともに、Caが多く含まれる。一方で、低CT値を示す領域として認められる最新すべり面は隣接する断層ガウジと比べるとCaが相対的に少ない。SEM観察により、最新すべり面ではCaの濃集部が点在するのに対して、隣接する断層ガウジでは脈状の分布を示す。これは断層破砕帯の発達において古くはクラックを方解石が充填していたものの、最近の活動では破砕を生じるのみであり、濃尾地震から約130年が経過した現在でも鉱物充填は進んでいないことを示している。
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