研究課題/領域番号 |
19K03992
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横尾 亮彦 京都大学, 理学研究科, 准教授 (70420403)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 噴気 / 空振 |
研究実績の概要 |
本研究では、阿蘇中岳第一火口の噴気活動を対象にして、空振観測と可視・熱赤外線映像観測、および山麓でのSO2放出率測定を繰り返し実施する。これらのデータから、噴気ジェットの音響特性(たとえばストローハル数)の推定につなげる。推定したストローハル数を用いることで、噴気ジェットの周波数時間変化からSO2放出率を逐次推定することを目指したものである。しかし、阿蘇山では2019年7月頃から、中岳第一火口中央部に開口した噴出火孔において、間断なく火山灰噴煙の噴出が継続する状況になり、2020年5月現在もその状況が変わっていない。この噴火活動によって噴火警戒レベルが2に上がったため、火口縁への立ち入りも制限された。また、降り積もる火山灰の影響などもあり、満足なデータ取得がほとんどできない状況になってしまった。 2019年度は、火口内壁噴気地帯の観測用の熱赤外線撮影装置を搭載した無人航空機(ドローン)を調達した。火山灰噴出が停止したタイミングでテスト飛行を実施し、火孔の活動状況や温度分布、火口内地形の3D形状の定量取得ができることを確認した。また、噴火活動開始前(2019年4月)に火口縁に設置した空振計によって、火山灰噴出開始直前の数時間から空振パルスが群発し始め、時間経過とともにその規模・頻度ともに活発化すること、そして、噴火直前30分前に静穏化することを見出した。これまで報告されたことのない空振活動であり、本研究対象である噴気ジェットとはやや異なるものの、噴火発生直前期における火道内状況の推定につながる重要性の高い現象と考えられる。これまでのところ、空振の卓越周波数(2 Hzほど)に大きな変化は認められない。火孔サイズの顕著な拡大もみられず、2014-2015年噴火活動時の状況とはやや異なっているものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
阿蘇山では2019年7月頃から、中岳第一火口中央部に開口した噴出火孔において、間断なく火山灰噴煙の噴出が継続する状況になり、2020年5月現在もその状況が変わっていない。この噴火活動によって噴火警戒レベルが2に上がったため、火口縁への立ち入りも制限された。また、降り積もる火山灰の影響などもあり、満足なデータ取得がほとんどできない状況になってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
噴火活動状況をみながら当初の研究計画にしたがって実施していくことを考えている。しかし、実際に交付された予算が申請額から大きく減額されたため、自身でのSO2放出率測定は断念し、気象庁による測定データを使用する必要があるだろう。2020年度はこれまでの空振記録の解析作業に特に注力するつもりである。
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