| 研究課題/領域番号 |
19K03993
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| 研究機関 | 京都大学 |
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研究代表者 |
藤 浩明 京都大学, 理学研究科, 准教授 (40207519)
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| 研究分担者 |
南 拓人 神戸大学, 理学研究科, 助教 (90756496)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 津波電磁場の位相 / 数値シミュレーション / 時間領域 / 三次元 / 2010年チリ津波 / 2009年サモア津波 / 波高・電磁場同時観測 / 赤道域 |
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| 研究実績の概要 |
今年度は主に，世界で唯一津波通過時に海底電磁場５成分と海底圧力が同時に観測されたタヒチ周辺海域のSOC8観測点のデータ解析を行い，それと並行してタヒチ周辺海域で観測された複数の津波事例の内2010年のチリ地震津波の三次元時間領域数値シミュレーションに着手した。
データ解析では，海底圧力データが表す津波の波高と地磁気の鉛直成分の位相差に着目して研究を進めた。これまでの津波電磁場に関する二次元／三次元の解析解／数値シミュレーションでは，津波に先行して津波起源の磁場鉛直成分が現れる事が示唆されている。これを実測で直接検証できるのが，SOC8における同時観測データである。
Wavelet変換その他を駆使した周波数解析により，（１）磁場鉛直成分の変化は，津波波高のそれに先だって現れる，（２）磁場水平成分の位相は，磁場鉛直成分のそれより９０度遅れている，こと等が明らかになった。さらに，（１）の位相の進みには周波数依存性が存在するかもしれない事が，積分変換により同定した周波数毎の位相解析により明らかになった。これが事実だとすれば新しい発見であり，電磁誘導が及ぶ範囲（inductive scale length）を用いて解釈すれば，定性的には周波数依存性を説明できる事になる。この新知見は，使用した海底圧力計のシステム応答補正の是非など多角的な観点から現在検証中である。
数値シミュレーションでは，既存の三次元時間領域コードを研究室のサーバーに移植してベンチマークテストを実施し，計算の再現性や速度の向上を図った。
成果発表は，今年度実施した米コロラド大・NOAA・NASA/GSFCとの国際共同研究で渡米した際，ボルダー市で口頭発表を行ったのに加え，国内では秋に熊本で開催された地球電磁気・地球惑星圏学会でもポスター発表を行った。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
津波波高と海底電磁場の同時観測データを用いた「位相問題」の究明に予想外の時日を要したが，米国との国際共同研究も実施できたので，概ね順調に進展していると評価した。
数値シミュレーションはベンチマークテスト止まりでやや遅れているが，その一つの原因は使用予定の計算サーバーが旧式化していた為である。その対処法については次項で述べる。
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| 今後の研究の推進方策 |
今年度は，データ解析における位相問題の決着を図ると共に，２０１０年チリ地震津波の三次元時間領域数値シミュレーションの実施に傾注する。双方の結果を九月末を目処に公表論文原稿に取りまとめ，査読付き国際誌に投稿する事を目標に研究を進める。
その為にはやや遅れ気味の数値シミュレーションのテコ入れを図る必要があるが，その為に備品費を計上し最新のPC計算サーバー１台を調達する。これにより最新の計算支援ソフトウェアのインストール等が容易になり，研究の進展が加速されるものと期待される。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
初年度は主に米国との国際共同研究に本助成金を使用したが，渡米に際して他の研究経費と渡航費・旅費等を折半する事ができ，また，データ処理に関わる謝金についても他経費で充当できた為，当該次年度使用額が生じた。
この剰余額については，今年度開始するフランスとの国際共同研究に資する他，初年度に着手した津波電磁場の三次元時間領域数値シミュレーションに関わる本格計算に必要なサーバーの調達に使用する。
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