今年度は,感染症の影響により一年延長された本研究の最終年度に当たるため,主にこれまでの研究成果の公表に注力した。 まず,5月に幕張で開催された日本地球惑星科学連合JpGU2022年大会では共著論文の発表を,また海外共同研究者であるフランス津波警報センター(CENALT; BRUYERES-LE-CHATEL)のイレーヌ・イベール博士らが主催した同センター創立十周年記念研究集会では口頭発表を行なった。さらに,2022年1月に発生したトンガ海底火山噴火に伴う津波についても,研究分担者および米国NOAAの研究者と急遽実施した共同研究の成果を,米国地球物理学連合が出版するインパクトファクターの高い査読付き国際誌上で公表することができた。 以上のように,最終年度を含め本研究では各年度を通して,活発な研究成果の公表ができたと考えられる。発表の場は,各年度国内学会・国際学会・査読付き国際誌の三つであり,また,最終年度には感染症の影響も軽減され,対面形式の国内及び海外研究交流を推進することもできた。さらに,本研究費により博士後期課程の学生の指導も容易に行なえた為,研究協力者でもあった海外からの留学生の博士(理学)の学位につなげる事もでき,教育的効果も同時に上がったと評価できる。昨年度の実績報告書にも記載した通り,2021年12月に米国地球物理学連合からPress Releaseされた為,その翌日には京都大学からも記者発表を行なった津波電磁場の研究成果は,この学位論文の基礎になった成果でもあった。 本研究の成果を短く要約すれば,「津波の波高と津波が作る磁場との位相関係を解明し,また,津波磁場成分を津波波高へ精度良く変換できる」ことを明らかにしたことに尽きる。今後は,磁場観測ならではの方位情報を津波伝播過程から抽出することが新たな目標となる。
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