研究課題
Alaska大学構内のクロトウヒ林を対象として、「根圏が凍結した状態下でも樹体内の不凍結水を使って光合成が行われている」ことを実証する観測的研究を進めている。開放型の同化箱を用いて箱内の群葉がCO2を吸収するかどうかを現地滞在観測により調べる計画であった。2019年9月までに大阪府大で,同化箱3組(3個で2シーズン観測,6反復)を制作すると共に,測定センサや配管,配線などを現地で取り付ける直前までの準備をおこなった。同年9月と11月の2回にわたり,準備した機材を持って渡米し,現地の対象木3個体にセンサなどを取りつけた。11月の渡米は別枠研究のついでに,センサ類を追加で運んだ。12月から2月下旬は極低温環境となりプラスチック類やセンサケーブルなどは凍結により破損する恐れがあったので,保温カバー程度の被覆状態で越冬し3月中旬以後に現地滞在して,観測を開始する計画であった。3月上旬には渡米準備が完了していたが,コロナウイルスの感染拡大を受けて,Alaska大学は3/16に構内への立ち入り制限(海外からのアメリカ入国者は市内で14日間待機後に始めて大学へ入構できる)が発令され,20日にはAlaska大学入構全面禁止措置(学生も入構できず,2020年春学期(5月末まで)は休講)が発表されたので渡米が不可能となった。4月上旬現在,しばらくは国内で待つしか無い状況である。現地在住の日本人の研究協力者に観測サイトのメンテを依頼している(謝金充当)が,立ち入り禁止のため状況把握ができていない。航空券など一部の旅費は払い戻しがあったが,しばらくは,渡米できない状態である。
4: 遅れている
コロナウイルスの感染拡大のため,3月中旬にAlaska大学構内への立ち入りが禁止され,さらに3月下旬には日本からの渡米も禁止された結果,予定していた現地での観測開始が不可能となった。4月上旬現在の情報では,5月下旬までは大学内への入構禁止措置が継続される予定で,当分は研究を進めることができない状態である。観測サイトの従来からの研究成果を関連研究として学会発表した(日本農業気象学会,Asia-Flux-meeting)。これらの発表課題の発展のために必要な追加データとなる研究であるが,今年度はデータ追加には至らなかった。
2020年の3-4月の観測ができなかったので,2020-21シーズンの観測に向けて,国内で機材の整備などを進める。Alaska大学の入構禁止措置が解除され次第,現地在住の日本人の研究協力者にサイトの状況をチェックしてもらい,測定機器のbattery交換など必要な回復措置を実施してもらう。日本から米国への渡航禁止が解除され,日本から米国への入国制限が解除され,アメリカ国外からAlaska大学の入構禁止措置が解除された後,早急に渡米し,昨年11月から越冬状態で放置されている測定機器,センサ類をチェックし,正常化をはかり次の観測シーズンに備える。
コロナウイルスの感染拡大を受けて,3月中旬以後Alaska大学構内への立ち入りができなくなった。このため,3月中旬から学生と一緒に現地観測を開始する予定であったが,渡米と現地滞在ができず,初年度の外国旅費2名分が,未使用となった。初年度末(202年3月)の学生の旅費に充てるために,測器類の準備や消耗品の購入は2019年度の別枠予算を振り替えて執行したため,本年度の物品費は未使用となっている。現地での謝金についても3月の観測時期に現地滞在できなかったため,未使用である。渡米できるようになったら速やかに観測研究を再開する。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
Agricultural and Forest Meteorology
巻: 284 ページ: 1-11
10.1016/j.agrfomet.2020.107899
巻: 275 ページ: 196-207
10.1016/j-agrfomet.2019.25.020