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2021 年度 実施状況報告書

根圏凍結条件下のクロトウヒの光合成が年間のCO2収支に及ぼす影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K03998
研究機関大阪府立大学

研究代表者

原薗 芳信  大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 客員研究員 (90137240)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードクロトウヒ / 光合成 / 根圏凍結 / 北方林
研究実績の概要

コロナウィルス感染拡大のために過去二年間,Alaskaに出張し現地における観測研究を実施する事ができなかった。Alaska大学がキャンパス内への立ち入り制限と日本からの入国制限を行ったこと,日本政府の渡航自粛勧告があったこと,当初計画に沿って渡米を強行した場合,アメリカ入国後10日程度さらに帰国後10日程度の隔離期間が必要であり,研究費でこれらを負担することは妥当でなかった。このようなことから,当初予定していた2020年3月下旬以後2022年3月までの適切な時期(根圏の土壌凍結時)に渡米できなかった。
以上の背景から,科研費の研究期間(2022年3月までの予定)の延長申請を行った。研究期間延長後の(渡航制限が一部緩和された)2022年4/5から4/15にAlaska大学へ出張し,2019年11月以後放置していた光合成測定装置などの回復作業,観測の再開を試みた。しかし,例年にない深い積雪深(4/10の測定で90cm)により作業が困難であったこと,2年半前に設置していた光合成測定装置がAlaska大学の研究者たちの研究活動が優先されたため本来の位置から移動されるなどの予期しなかった困難があり,滞在期間中に当初予定の観測開始とデータ取得には到らなかった。2022年の初秋に光合成測定装置などの復旧作業と設置を実施し,2023年春に改めて観測を実施することで,研究目標を達成する計画である。
他方,2022年4月の渡米で明らかになったことは,自由水(不凍結水)に関して研究協力を依頼していたAlaska大学Geophysical Institute(GI)のRomanofsky教授がこの2年半の間に退官し,GIの低温環境施設を利用したクロトウヒ樹体や凍結土壌中に含まれる不凍水の比率を調べる再現実験ができないことが判明した。
国内では,科研費申請に供した過去のDataを精査し,クロトウヒの光合成に関する文献調査をすると共に,成果報告に結びつける資料を作成した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

コロナウィルス感染拡大に伴い,Alaska大学が日本からの入国制限を行ったこと,日本政府の渡航自粛勧告があったことから,適切な時期(根圏の土壌が凍結している時期)に渡米して現地における観測研究を実施する事ができなかった。
2022年4月5日から14日まで現地滞在して春期の観測を試みたが,例年にない約1mに達する積雪深により,2年半前に設置した地温センサーや光合成測定用のサンプリングチューブ配管などの掘り起こしに手間取り,また2年半に及ぶ研究中断のため測器の不調が多く発生したため,滞在期間中の観測開始やデータ取得ができなかった。

今後の研究の推進方策

2022年4月上旬にAlaska大学を訪問し,現地における観測研究を再開した。2019年11月上旬にクロトウヒの根圏に地温センサを埋設し,対象クロトウヒ木に光合成測定チャンバーをとりつけたが,以後2年半近く放置したままだったので,深い積雪深に埋もれていた。これを今回(2022年4月)の滞在期間中に掘り起こし,地温センサーなど部分的には使えることを検証した。
今回データ取得が不可能であった装置の一部(データロガー,電磁弁など)については,新たに装置を作り直すことが予算内で可能かどうかを検討し,修復の可能性が高い場合は2022年夏季から秋期に国内で測定装置の再構築を行う。2022年の初秋に現地滞在し,光合成測定装置などの回復作業を実施し,可能な限り2023年春期にデータを確保する。

次年度使用額が生じた理由

コロナウィルス感染拡大に伴い,Alaska大学のクロトウヒ林で実施予定であった観測研究を実施できなかったため,旅費をはじめとする研究費を執行できなかった。
研究期間の延長により,2022年度に実施して経費の執行に当たる。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Spring onsets of a young forest in interior Alaska determined based on time-lapse camera and eddy covariance measurements.2021

    • 著者名/発表者名
      Kawashima, S., Ueyama, M., Okamura, M., Harazono, Y., Iwata, H., Kobayashi, H.
    • 雑誌名

      Journal of Agricultural Meteorology

      巻: 3 ページ: 190-199

    • 査読あり
  • [学会発表] Methane emissions from the forest floor of a black spruce forest on permafrost in interior Alaska.2022

    • 著者名/発表者名
      Ueyama, M., Iwata, H., Endo, R., Harazono, Y.
    • 学会等名
      International Symosium Pan-Arctic Water-Carbon Cycles and Terrestrial Changes in the Arctic: For Resilient Arctic Communities, Online
    • 国際学会
  • [学会発表] Factors for local-scale spatiotemporal variation of spring onsets of vegetation in interior Alaska.2022

    • 著者名/発表者名
      Kawashima, S., Ueyama, M., Harazono, Y., Iwata, H., Kobayashi, H.
    • 学会等名
      International Symosium Pan-Arctic Water-Carbon Cycles and Terrestrial Changes in the Arctic: For Resilient Arctic Communities, Online,
    • 国際学会
  • [学会発表] 人工衛星データを用いた内陸アラスカの生育期開始における地域スケールの空間変動の解析2022

    • 著者名/発表者名
      川嶋しほり・植山雅仁・原薗芳信・岩田拓記・小林秀樹
    • 学会等名
      日本農業気象学会全国大会, オンライン
  • [学会発表] 大気境界層モデルを用いた北方林サイトにおける対流性降雨の再現2022

    • 著者名/発表者名
      落合悠介・岩田拓記・植山雅仁・原薗芳信
    • 学会等名
      日本農業気象学会全国大会, オンライン
  • [学会発表] 10年規模気候変動下におけるアラスカ北方林での大気と土壌の物理的相互作用2022

    • 著者名/発表者名
      大久保香穂・岩田拓記・原薗芳信・植山雅仁・永野博彦
    • 学会等名
      日本農業気象学会全国大会, オンライン
  • [学会発表] Factors for geographical distribution of spring onsets of vegetation in interior Alaska.2021

    • 著者名/発表者名
      Kawashima, S., Ueyama, M., Harazono, Y., Iwata, H., Kobayashi, H
    • 学会等名
      iLEAPS-Japan研究集会2021 大気―陸面プロセスの研究の進展:観測とモデルによる統合的理解,
  • [学会発表] アラスカ北方林における大気と土壌の物理的相互作用.2021

    • 著者名/発表者名
      大久保香穂・岩田拓記・植山雅仁・原薗芳信・永野博彦
    • 学会等名
      日本農業気象学会関東支部大会, オンライン
  • [学会発表] 森林火災による土地被覆変化が対流性降雨の特性に与える影響2021

    • 著者名/発表者名
      落合悠介・岩田拓記・植山雅仁・原薗芳信
    • 学会等名
      日本農業気象学会関東支部大会, オンライン

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公開日: 2022-12-28  

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