研究課題/領域番号 |
19K04002
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
工藤 健 中部大学, 工学部, 教授 (80410645)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 重力データベース |
研究実績の概要 |
重力データの空白域を解消し、日本列島が完全に覆い尽くされる「日本列島重力データベース」を完成させるため、当該年度は北海道東部の重力データ空白域を中心に新規重力測定を実施した。また現在までの全集録データの完全な規格化と統合を1mgal を越える高精度で再編集するため、新規に計算機を導入し、重力データ処理システムを構築した。最新のデータベースに収録された重力データは、東北日本の地下構造に関わる共同研究および文部科学省地震調査研究推進本部活断層分科会において活断層の実態調査のための基礎資料として利用した。 新規重力測定は、2019年8月18日から9月5日にかけて、主に北海道東部において実施した。併せて中部大学重力基準点および北海道千歳空港内にある一等重力点、観測地域内にある電子基準点において測定を行い、観測精度の検証を行った。期間内の総測定点数は303点、観測地域内での観測車両の全走行距離は1796.2 kmであった。 重力データ処理システムは、これまで愛媛大学と中部大学で分担していたシステムを統合し、本研究の実施主体である中部大学において全ての処理と「日本列島重力データベース」の編集が行えるよう、研究実施体制を刷新した。 最新の「日本列島重力データベース」の地球科学研究への応用としては、東北日本の地下構造に関わる共同研究を実施し、東北日本弧における後期新生代の火成活動と地殻構造について解明するための基礎資料として利用した。また文部科学省地震調査研究推進本部活断層分科会においては、本州中部地域における活断層の実態調査のための基礎資料として、地下の密度分布を示す各種図版の作成に利用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度に導入を予定していた可搬型GNSSシステムが製造中止となり、代替の新製品が計画段階では想定外の高額なものとなってしまったため導入を見送り、見込まれた観測の効率化、作業時間の短縮が実現しなかった。また悪天候による観測中止や観測地における林道の崩落などのため、現地で観測予定を変更せざるを得ない事態が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り新規重力測定ができなかった地域については、来年度以降の観測計画に含め、引き続き重力測定点空白地域の解消を目指す。予定していた可搬型GNSSシステムの新規導入については購入を断念し、旧システムでの観測を工夫しながら続行する。新システム購入に計上していた予算は、来年度以降の観測に振り分ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画当初導入を予定していた可搬型GNSSシステムが製造中止となり、代替の新製品が計画段階では想定外の高額なものとなってしまった。また研究計画申請時に計上した予算額が、採択時に減額されてしまったため新システムの購入を断念した。そのため本研究では、研究開始以前に使用していた旧システムを継続して使用することとし、新システム導入のための予算は次年度以降の観測活動の増強のために有効利用する。
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