研究課題/領域番号 |
19K04004
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
野々垣 進 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (30568613)
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研究分担者 |
根本 達也 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (10572555)
升本 眞二 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (40173760)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地質情報 / ボーリングデータ / ボクセルモデル / 空間補間 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
本研究では,機械処理によりボーリングデータから,土・岩石の3次元分布を求める手法を確立する.また,土・岩石の情報を地層の情報へ対比する手法を検討する.さらに,土・岩石・地層の分布情報を,誰もが理解・利用しやすい形でWeb共有する手法を検討する.本年度の主な研究成果は次の通りである. (1)地盤情報の3次元分布モデルの構築手法の改良:ボーリング交換用データに記録された連続する2つの標準貫入試験結果(N値)と,それらの記録深度における岩相情報とを用いて,N値の1次元グリッドデータを求める空間補間法を開発した.この補間法を昨年度開発したボロノイ分割に基づく地盤情報ボクセルモデル構築理論に適用することで,簡易的にN値の3次元分布モデルを構築する理論を確立した.また,ボロノイ分割の代わりに自然近傍補間法を用いる新たな地盤情報ボクセルモデル構築理論を提案し,Fortranにより具体化した.東京都23区域のボーリング交換用データを用いて理論の検証を行った結果,これまでのボロノイ分割を用いる手法と比べて,周辺の地盤情報をより反映した連続性の高い地盤情報ボクセルモデルを構築できることを確認した. (2)機械処理に基づく地層対比手法の検討:昨年度収集したボーリング交換用データのうち,地層の対比を行えたデータを利用して,地盤情報と地層名とを結びつける機械学習用データセットを作成した.地盤情報データには,深度,岩相名,混在物の種類,N値等を利用した.また,作成した機械学習用データセットを基にボーリング掘削地点の各深度における地層名を判定する学習モデルを求めるための全結合型ニューラルネットワークを検討するとともに,このネットワークをPythonにより具体化した. (3)成果発表:中間成果をまとめて,学術誌に投稿した.また,国内学会で研究成果を発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度計画していた(1)地盤情報の3次元分布モデルの構築手法の改良,(2)機械処理に基づく地層対比手法の検討,(3)問題点の整理をすべて遂行し,その成果を誌上発表・口頭発表したことから,全体としておおむね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
機械処理に基づく地層対比手法の検討と,3 次元分布モデルのWeb共有手法の検討を行う.研究計画に変更はない.具体的な研究内容は次の通りである. (1)機械処理に基づく地層対比手法の検討:ボーリング交換用データに記録されている地盤情報のうち,機械学習による地層対比に有効な地盤情報およびその数値化方法を整理し,前年度作成した地盤情報と地層名とを結びつける機械学習用データセットの改良を試みる.また,畳み込みニューラルネットワークによる機械学習を利用したボーリングデータの地層対比手法を検討する. (2)3 次元分布モデルのWeb共有手法の検討:これまでに開発してきた3次元地質情報Web共有システムをベースに,Web上で地盤情報ボクセルモデルを共有する手法を検討する.具体的には,Webブラウザ上でボクセルモデルを描画する方法や,モデルの断面図を作成する方法について検討する. (3)問題点の整理:地盤情報の3次元分布モデルの構築手法,機械処理に基づく地層対比手法,3 次元分布モデルのWeb共有手法の問題点を整理する. (4)成果発表:成果をまとめて研究成果を口頭発表する.
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