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2019 年度 実施状況報告書

XBIEM地震サイクルシミュレーションで探る構造不均質と地震発生の因果関係

研究課題

研究課題/領域番号 19K04009
研究機関東京大学

研究代表者

亀 伸樹  東京大学, 地震研究所, 准教授 (90304724)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード境界積分方程式法 / 地震サイクルシミュレーション / 不均質構造 / 断層 / XBIEM
研究実績の概要

XBIEMを用いて、地震サイクルシミュレーションを不均質媒質中へ拡張する。その基となる広範囲に用いられている地震サイクルシミュレーションに用いられている数学、物理、計算アルゴリズムを確認することからスタートした。本年度の到達目標として、既存の2次元半無限弾性体のグリーン関数に基づく滑り応答関数の解析的表現を用いたシミュレーションコードを読解し、その理解の後に、並列計算機上での試行を行うこととし、具体例としてHirahara and Nishikiori (2019)の論文にある日向灘沖長周期スロースリップイベントのシミュレーションを再現する計算コードを用いた。

この実際の計算コードの勉強と計算機における実際の試行を通じて、(1)滑り応答関数の作成方法、(2)可変時間刻みのルンゲクッタ8次精度の数値計算ライブラリの使用法、(3)MPI数値計算コードの作成方法、(4)スロースリップサイクルのパラメタ設定方法、について完全な理解に達することができた。

この過程を通じて、並列計算機においてMPIの実行する際に、今後必要となる計算機資源の見積もりを得ることができた。スロースリップイベントの場合、必要となるメッシュサイズの条件は比較的制限が緩やかであり、パッチサイズに対して東西50セル南北60セルの合計3000セル程度でモデル化が可能であり、試行するパラメタセットが100の場合においても並列コア数32の条件下で、およそ3時間程度で終了する。これにより、XBIEMの適用による拡張を行った場合においても、2次元モデルの場合には、およそ数倍の計算資源となり、十分現実的な時間で試験計算を繰り返し、計算コードの開発ができる見通しを立てることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

既存の標準的な境界積分方程式法を用いた地震サイクルシミュレーションコードの解析を終え、これを拡張する研究課題の基礎を固めることができ、これにより来年度の研究の方針についての見通しを得ることができたため。

今後の研究の推進方策

2次元問題に対してXBIEMを用いた地震サイクルシミュレーションコードの拡張を行う。まず、最初に、定式化において現れる断層表面のトラクションと変位の畳み込みを数値的に評価するための、「単位トラクション入力」に対する応力応答関数の解析表現を導出する。次に、これを利用して、区分的に均質な領域により表現された「不均質媒質」の応力場を表現する数値計算コードを開発する。こうして開発した計算コードにおいて、全ての不均質性を同一にしたものは、既存の2次元半無限媒質の計算結果と一致するはずである。両者の比較ににより、開発した計算コードの定量的検証を行う。検証の後、単純な不均質構造モデルを構築し、媒質の不均質性が支配する地震サイクルの特徴の抽出を目指した数値実験を行う。

次年度使用額が生じた理由

2020年2月に研究打ち合わせの国内出張を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で中止としたため、次年度使用額が生じた。問題が収まった後に、計画を再開し研究打ち合わせの国内出張を行う。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Nucleation of Characteristic Earthquakes in Simulated Cycles Involving Deep Huge Slow Slip Events2019

    • 著者名/発表者名
      Ohtani Makiko、Kame Nobuki、Nakatani Masao
    • 雑誌名

      Journal of Geophysical Research: Solid Earth

      巻: 124 ページ: 1822~1837

    • DOI

      10.1029/2018JB016156

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Reply to comment by Vallee et al. on “Earthquake-induced prompt gravity signals identified in dense array data in Japan”2019

    • 著者名/発表者名
      Kimura Masaya、Kame Nobuki、Watada Shingo、Ohtani Makiko、Araya Akito、Imanishi Yuichi、Ando Masaki、Kunugi Takashi
    • 雑誌名

      Earth, Planets and Space

      巻: 71 ページ: 1-8

    • DOI

      10.1186/s40623-019-1099-2

    • 査読あり
  • [学会発表] 表現定理とグリーン関数 (3) ― 全無限グリーン関数の2階微分を用いた点震源が引き起こす歪み・応力・密度摂動場の表現 ―2019

    • 著者名/発表者名
      木村 将也・亀 伸樹
    • 学会等名
      JpGU2019
  • [学会発表] 津波のグリーン関数Kajiura Filterの級数表現の導出2019

    • 著者名/発表者名
      亀 伸樹・日下部 哲也・綿田 辰吾
    • 学会等名
      JpGU2019
  • [学会発表] Detection of Earthquake-induced Prompt Gravity Signals in Multi-channel Data2019

    • 著者名/発表者名
      木村将也・亀伸樹・綿田辰吾・大谷真紀子・新谷昌人・今西 祐一・安東正樹・功刀 卓
    • 学会等名
      JpGU2019
  • [学会発表] 即時に生じた重力摂動に対する弾性体の過渡的応答の根源的性質:「総内力ゼロ」となる不思議な弾性変形様式とその物理機構2019

    • 著者名/発表者名
      亀 伸樹・木村 将也
    • 学会等名
      日本地震学会2019秋季大会

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公開日: 2021-01-27  

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