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一年目は、広帯域海底地震計記録を精査し、普通地震とTremorの違いを確認した。特にその二種類のイベントの中間的な性質を持つ地震イベントに着目し、分類基準を検討した。その結果、Tremorは地震波エネルギーの高周波成分(>10Hz)の枯渇で最もよく特徴付けられることが分かった。二年目は、普通地震とTremorを近地の海底地震計記録から系統的に検出する手法について検討した。従来の、観測点間の走時差のみを利用したエンベロープ相関法では、海底下の三次元不均質構造やTremorの震源特性に起因して、多くの地震イベントを取り逃がしていることが分かった。この問題は、シグナルの最大振幅を利用し震源決定を実施することで部分的に解決することが分かった。三年目の前半は、最大振幅を利用したイベント検出手法を海底地震計データに適用し、従来手法からの改善した点を論文にまとめた。この論文は、未だ出版には至っておらず現在投稿準備中で在る。三年目の後半は、普通地震とTremorの中間的な特徴を呈する地震イベントの一つである"Short-duration Tremor"の発見について、論文にまとめた。そこでは、Tremorが必ずしも長い震源過程時間をもつわけでないこと、Tremorシグナルが震源周辺の異常構造にも起因すること、そしてその構造がスロー地震の支配要因である可能性を論じた。四年目は、共同研究者や査読者からの指摘を受けながら、Short-duration Tremorの論文の出版に向けて、追加の理論波形計算などを実施した。2023年４月に論文はGRLで出版された。
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