研究課題/領域番号 |
19K04018
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
清水 以知子 京都大学, 理学研究科, 准教授 (40211966)
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研究分担者 |
苗村 康輔 京都大学, 理学研究科, 特定助教 (50725299)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 超高圧変成岩 / 多相固体包有物 / 超臨界流体 / 炭酸塩マグマ / 塩水 / プレート収斂域 |
研究実績の概要 |
本研究では超高圧変成岩の鉱物中に含まれる多相固体包有物の分析と高温高圧実験によって、沈み込み帯深部に存在する流体・メルトの組成を復元し、沈み込み帯のマグマ生成などにおける化学的多様性を解明する。本年度はこれまで世界各地から蒐集された試料のうち、チェコ共和国のロンポッドリビネム採石場から産するザクロ石輝石岩を選定し、ザクロ石中の多相固体包有物の組織観察を行った。本試料の包有物の長径は5~200ミクロンであり、電子顕微鏡において直線的なザクロ石の自形面で囲まれていること、ミルメカイト様の組織が観察されることから、マグマから結晶化したことが示唆される。また珪長質マグマの急冷相である可能性のある均質相も見つかっている。多相固体包有物の3次元組織を明らかにするために、高知コアセンターにおいて、X線CTスキャナーによる観察を開始した。これまでの予察的な結果から、100ミクロン以上の大きな包有物であれば十分観察することができることが確認できたが、多くの包有物(~数十ミクロン径)では内部組織の明瞭な像が得られず、課題が残った。高温高圧下の深部流体復元実験については、変成岩試料の温度圧力履歴や先行研究のレビューに基づき、圧力~3GPa、温度700-1300℃の条件を設定し、実験手法や試料アセンブリについて検討した。本研究で使用するピストンシリンダー型高圧発生装置では、一般に油圧換算で試料部の圧力を求めているが、固体圧媒体による内部摩擦により大きな誤差を含んでいることも、類似の実験装置による圧力校正試験から明らかになった。また出発物質として鉱物粒子集合体(粉体)を押し固める際に空隙が残ることも問題であり、間隙率の小さい試料アセンブリの作成方法についての技術的検討も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属機関のX線CTスキャナーに故障期間があり、また新しい装置で使用法が確立していなかったため、研究計画を変更して高知コアセンターに共同利用を申し込み予察的な観察を行うこととしたが、そのために全体の計画が遅れ、3次元観察後に行う予定であった高温高圧実験までは実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの解析に使用したザクロ石輝石岩については、X線および電子顕微鏡でさらに詳細に分析するとともに、ラマン分光法によって形成圧力条件を制約する。それ以外の超高圧変成岩試料についても解析を進める。X線CTによる3次元構造解析を引き続き行うとともに、高温高圧実験による深部流体組成の復元に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度のX線CT観察までに時間がかかり、計画にやや遅れが生じ、未使用額が発生した。遅れた研究は次年度にとり行い、未使用分はその際に必要な実験室物品に充てる。
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