地震が発生すると,地下に蓄積された歪みエネルギーのバランスが変化する.この変化によって,規模の大きい地震(本震)の後には,続いて多数の地震(余震)が発生することが知られている.余震活動の分布を説明する際,これまではクーロンの破壊基準が広く用いられてきたが,本研究では,歪みエネルギーそのものの変化の観点から,余震活動の評価を試みる. 本年度は,2011年東北地方太平洋沖地震の発生後,日本列島内陸域の各地で確認された地震活動の活発化に注目し,東北地方太平洋沖地震によってもたらされた剪断歪みエネルギー変化の評価および活発化した地震活動との比較を行った.東北地方太平洋沖地震により,東北日本・中部日本では広範囲にわたって剪断歪みエネルギーは解放され,減少を示すものの,一部地域では増加を示し,地震活動の活発化とよい相関を示すことが明らかになった.これらの地域の剪断歪みエネルギー変化は,平均的な剪断応力に換算して概ね0.01MPa以上の増加に対応する.
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