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2023 年度 実施状況報告書

3次元有限要素モデリングと測地データ解析による北海道下の統合的応力蓄積予測

研究課題

研究課題/領域番号 19K04033
研究機関東京学芸大学

研究代表者

橋間 昭徳  東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (90600461)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
キーワード日本海溝 / 有限要素モデル / クーロン破壊関数 / 震源断層 / すべり速度欠損 / インバージョン / 関東地方 / 2024年能登半島地震
研究実績の概要

本年度は、千島-日本海溝のプレート境界過程の関東地方への影響についての解析結果をまとめた。関連して、2024年1月1日に発生したM7.6能登半島地震についての解析も行った。また、昨年度行ったトルコ・ギリシャについて本研究手法を応用し、同地域の地殻変動場のメカニズムの推定については、学会発表および論文執筆を行った。詳細を以下に述べる。
(1)昨年に引き続き、2011年東北沖地震前後の影響について、2011年より前については日本-千島海溝のすべり速度欠損(固着)分布を、2011年以降については東北沖地震のすべり分布を有限要素モデルに入力して、関東地方の震源断層上におけるクーロン破壊関数(ΔCFF)を求めた。これらの結果については、「第2次災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」令和5年度地震(長期予測)部会で発表し、報告書を提出した。現在、論文を執筆中である。
(2)2024年M7.6能登半島地震の発生メカニズムの解明のため、(1)と同じモデルを用いて南海トラフの固着と東北沖地震前後の能登半島地域における断層へのΔCFFを見積もった。南海トラフの固着や東北沖地震発生時およびそれ以降の影響については、能登半島地域の断層のΔCFFは負となり、能登半島地震の発生を抑制する。東北沖地震前の千島-日本海溝の固着についてはΔCFFは正となり能登半島地震の発生には親和的ではあるが、時間的には合わない。能登半島地域は南海トラフや日本海溝から遠く離れており、また、上記の計算では相模トラフや伊豆半島の衝突の影響は考慮されていない。今後、これらの影響を合わせて総合的に検討する必要がある。これらの結果については、「第2次災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」令和5年度地震(長期予測)部会で発表し、報告書を提出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では、三年間の研究期間で、東北日本-千島・日本海溝系についてa) 有限要素モデル(FEM)の構築、b) 測地データインバージョン、c) 応力計算の3項目を行うこととしている。研究を効率的に進めるために、申請者の過去研究を適宜参照しながら行う。
a)のFEM構築は初年度にほぼ終了した。
b)については、国土地理院GEONETのGNSSデータを使用した。千島-日本海溝の統一的なインバージョンによってすべり速度欠損分布については昨年度にほぼ終了した。同様の手法をトルコ・ギリシャの地殻変動解析に適用することでヘレニック沈み込み帯のすべり分布を得た。
c)については得られたすべり速度欠損分布をFEMに入力し、関東地方の応力分布を求め、この地域の震源断層面にかかるクーロン破壊関数も求めた。また、2024年M7.6能登半島地震の発生メカニズムを解明するため周囲のプレート境界過程による応力計算を行ったが、これについては相模トラフや伊豆半島の衝突についてさらなる検討を要する。
以上により、a-b)についてはほぼ終了した。2024年度はこれらを用いて、c)の内部構造と震源断層の活動性の関係を検討していくことになる。以上で行った研究の成果については、IUGG2023などの学会で発表した。

今後の研究の推進方策

昨年度までに整備したシミュレーションモデルとインバージョンプログラムのもと、今後は具体的に北海道-東北日本の地殻変動データを用いて研究を進めていく。関連して、トルコ・ギリシャの地殻変動解析も進める。
まず、北海道―東北日本においては、巨大地震の発生が危惧されている根室沖について、2011年東北沖地震の影響を調べるため応力計算を行う。これらの結果を論文にまとめ投稿する。また、北海道の陸域の震源断層の形状から断層面上の応力ベクトルを計算し、さらに断層破壊に対する応力の影響を評価するクーロン破壊関数(ΔCFF)を求める。近年提唱されたΔEFS(Energetic-based failure stress)による地震活動予測の有効性についても検討する。
ギリシャ・トルコの地殻変動に関しては、本年度得られた結果に基づき論文にまとめる。
以上で行う研究の成果をJpGU2024、日本地震学会2024年度大会で発表予定である。

次年度使用額が生じた理由

昨年はIUGG2023の海外出張があったものの、物品費やソフトウェア費を使わなかった。未使用額は翌年度に繰り越し、ソフトウェア、データ費またはバックアップのためのハードディスク費として使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Can the regional 3D stress field according to the Wallace-Bott hypothesis predict fault slip directions of future large earthquakes?2024

    • 著者名/発表者名
      Ishibe, T., T. Terakawa, A. Hashima, M. Mochizuki, and R. S. Matsu’ura
    • 雑誌名

      Earth, Planets and Space

      巻: 76 ページ: 26-26

    • DOI

      10.1186/s40623-023-01955-9

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 主要活断層帯を対象とした広域三次元応力場ならびにWallace-Bott仮説を用いた断層すべり角推定 ~断層形状の不確定性が推定に及ぼす影響について~2023

    • 著者名/発表者名
      石辺岳男, 寺川寿子, 橋間昭徳, T. M. Bantidi, 望月将志, 松浦律子
    • 学会等名
      日本活断層学会2023年度秋季学術大会
  • [学会発表] 2004年紀伊半島沖地震による余効変動解析:3次元粘弾性構造の影響2023

    • 著者名/発表者名
      橋間昭徳, 堀高峰, 飯沼卓史, 藤田航平, 村上颯太, 市村強
    • 学会等名
      日本地震学会2023年度秋季大会
  • [学会発表] Relative contribution of the Hellenic slab rollback and movement of North Anatolian Fault to the deformation in the West Anatolia2023

    • 著者名/発表者名
      Hashima, A., T. Eken, and H. Ozener
    • 学会等名
      28th IUGG General Assembly
    • 国際学会
  • [学会発表] 3次元高詳細構造モデルを用いた1944年東南海・1946年南海地震によるプレート内応力変化計算2023

    • 著者名/発表者名
      橋間昭徳, 堀高峰, 飯沼卓史, 村上颯太, 藤田航平, 市村強
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2023年大会
  • [学会発表] 2011年5月から継続中の日本海東縁のETAS効果の消滅について2023

    • 著者名/発表者名
      松浦律子, 橋間昭徳, 石辺岳男
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2023年大会

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公開日: 2024-12-25  

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