• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

岩石中の亀裂分布・断層形成時の応力条件が断層の透水性におよぼす影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K04042
研究機関東邦大学

研究代表者

上原 真一  東邦大学, 理学部, 教授 (20378813)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード岩石室内実験 / 透水性 / 断層 / 破壊 / 応力 / 歪 / 亀裂 / 透水実験
研究実績の概要

断層の内部構造や断層沿いの透水性が,初期亀裂の分布(密度・サイズ)や応力条件にどの様に影響するかを評価することは,特定の岩盤中に断層が発達する際に,深さや応力状況によって,断層の内部構造や透水性がどうなるかを評価する上で重要である.2019年度は,インドのRajasthan産の砂岩(間隙率11%;石英68 %, カリ長石18 %, 斜長石10 %, 雲母1 %, その他3 %)を対象に,900℃で加熱し,室温で十分に冷却することで内部亀裂を増加させた試料(間隙率14 %)と,未加熱の試料の2種類について,封圧下で軸方向に一定の速度で変形させながら,応力・歪,および軸方向の流体移動特性を測定した.計画では,始めから花崗岩を用いるとしていたが,巨視的破壊前後の透水性の変化を調べるためには,破壊前でも,透水性が測定可能範囲になるということから,まずは砂岩を採用した.次年度以降,花崗岩の実験も検討する.実験の結果,巨視的破壊前の透水性の変化,およびその応力・歪との関係は,どちらの試料でも定性的には同様の挙動を示した.一方で,破壊前後での巨視的な透水性の変化は異なる結果となった.これは,破壊構造の違い(岩石試料の両端をつなぐ様な巨視的な断層が形成されたか,片方の端面付近で変形が集中したか)に強く依存していると思われる.また,破壊強度は,未加熱試料よりも,加熱試料の方が大きくなる傾向が見られた.これは,当初の予想と反するものである.その原因として,加熱による鉱物の変質や,二次的鉱物の生成・膠着物質の析出が考えられる.今後,岩石試料の微細構造の観察や分析によって,内部亀裂の分布とともに,加熱前後の構成鉱物の変化なども調べる必要がある.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルス感染症拡大に伴い,2月以降に予定していた,室内実験および内部構造の観察,構成鉱物の分析,岩石内部での微小破壊計測システムの構築の作業ができなかった.

今後の研究の推進方策

2019年度の実験について,必要な追加実験を行うとともに,実験試料の内部構造の観察,構成鉱物の分析等を実施する.また,岩石内部での微小破壊計測システムの構築も進める.加えて,変型―透水実験システムについて再検討し,必要に応じて新しいデザインを試し,実験を行う.花崗岩による実験の実施についても検討する.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染拡大により,当初予定した作業(追加実験を行うとともに,実験試料の内部構造の観察,構成鉱物の分析等,岩石内部での微小破壊計測システムの構築)ができなかったため.繰越し予算は,その費用に充てる.
その他の本年度予算は,せん断透水実験用の消耗品および治具制作,実験後試料の微細構造観察のための費用に充てる.状況に応じて,実験後試料のマイクロフォーカスCT撮影を行うための旅費等にも使用する.

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi