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2020 年度 実施状況報告書

岩石中の亀裂分布・断層形成時の応力条件が断層の透水性におよぼす影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K04042
研究機関東邦大学

研究代表者

上原 真一  東邦大学, 理学部, 教授 (20378813)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード岩石室内実験 / 透水性 / 断層 / 破壊 / ダメージゾーン / 断層ガウジ帯 / 亀裂 / 透水実験
研究実績の概要

断層の内部構造や断層沿いの透水性が,初期亀裂の分布(密度・サイズ)や応力条件にどの様に影響するかを評価することは,特定の岩盤中に断層が発達する際に,深さや応力状況によって,断層の内部構造や透水性がどうなるかを評価する上で重要である.実験試料にはインドのRajasthan産の砂岩(間隙率11.5%;石英68 %, カリ長石18 %, 斜長石10 %, 雲母1 %, その他3 %)を用いた.内部亀裂分布の異なる試料を作成するために,岩石試料を加熱・冷却した.加熱温度は,前年度の結果を踏まえ650℃とした.また,冷却の過程として,過熱後加熱炉の電源を切ってから炉内でそのまま冷却した場合(650deg_slow;間隙率11.7%)と,過熱直後に試料を冷水で強制的に冷却した場合(650deg_rapid;間隙率13.3%)の2通りで実験試料を準備した.この2つと,未加熱処理の試料(intact)の3種類の試料について実験を行った.封圧10MPaでの軸圧縮破壊実験の結果,最大差応力の値および巨視的破壊後の残留差応力の値に大きな違いはなかった.一方で,最大差応力に達してから,巨視的な破壊が起きるまでの差応力の変化ならびに体積ひずみの変化には違いが見られた(差応力の低下量:intact < 650deg_slow < 650deg_rapid;体積ひずみの増加量:650deg_slow < 650deg_rapid).変形後の試料を観察したところ,断層ガウジ帯の幅の大小関係はintact < 650deg_slow < 650deg_rapidとなった.今回の結果は,巨視的な破壊に至るまでの局所的な亀裂生成,破壊のプロセスが,初期亀裂の状態に関係する可能性を示唆する.亀裂密度分布に関しては,偏光顕微鏡または走査型電子顕微鏡による観察をもとにした手法について検討し,評価する予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルス感染症拡大に伴い,岩石内部での微小破壊計測システムの構築の作業ができなかった.また,同様の理由から,室内実験および内部構造の観察も遅れ気味である.

今後の研究の推進方策

2020年度と同様の条件で,変形-透水試験を実施する.また,実験後および未変形の試料について,偏光顕微鏡および走査型電子顕微鏡による観察を行い,亀裂密度分布などの内部構造を定量的に評価する.また,岩石内部での微小破壊計測システムの構築も進め,巨視的な破壊に至るまでの局所的な亀裂生成,破壊のプロセスのより深い理解を目指す.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染拡大により,当初予定した作業(追加実験を行うとともに,実験試料の内部構造の観察,構成鉱物の分析等,岩石内部での微小破壊計測システムの構築)が予定通りにできなかったため.繰越し予算は,その費用に充てる.
そのほかの次年度予算は,せん断透水実験用の消耗品および実験後試料の微細構造観察のための費用に充てる.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 岩石中の初期亀裂分布がせん断破壊時の内部構造および透水性に与える影響2020

    • 著者名/発表者名
      菊池結花、上原真一
    • 学会等名
      日本地球惑星科学2020年大会

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公開日: 2021-12-27  

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