研究課題
基盤研究(C)
四万十帯に発達する伸張性亀裂を充填する石英脈を対象に,石英脈形成の多孔質弾性モデルを用いたところ,伸張性亀裂の形成は最大8 kmの深さで全間隙水圧の最大で数%しか解放しないことを示し,巨大分岐断層付近の間隙水圧は地震サイクル全体を通して静岩圧に近かったことが明らかとなった.また,流体圧のうち最小主応力を超えた分と鉱物脈の間隔との関係に負の相関があることを示した.
地質学
研究成果は地震後の伸張性亀裂による間隙流体圧の低下が巨大分岐断層の断層強度を増加させるのにほとんど寄与せず,つまり,断層面付近は間隙流体圧が高い状態が維持されている可能性を示す.また,鉱物脈同士の間隔はスロー地震の発生サイクル内での間隙流体圧の過剰分の時間変化の結果である可能性があり,間隙流体圧の過剰分がスロー地震のサイズを規定する可能性がある.