地球核の化学組成は未解明問題の一つであり,水素はその鍵といえる.全地球深部の内部構造やダイナミクス,進化史を解明する上で,地球核にどのくらい水素が存在するのか,密度はどのくらいかという点は,重要な制約条件となる.本研究から,水素に富む領域と枯渇する領域で,地球核の主成分である鉄に固溶する水素量が異なり,その大きな密度差により地球核内で化学的沈降・浮遊が生じる可能性を示唆する重要な成果が得られた. 地磁気は人間社会活動と大きく関係している.地磁気の発生場である地球核の物質科学的解明,特に水素が果たす役割は,その発生メカニズムの解明や地磁気の変遷を理解する上でも重要である.
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