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2019 年度 実施状況報告書

マイクロX線CTを用いた海洋酸性化が有孔虫の石灰化に及ぼす影響の検証

研究課題

研究課題/領域番号 19K04053
研究機関東北大学

研究代表者

黒柳 あずみ  東北大学, 学術資源研究公開センター, 助教 (20536510)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード海洋酸性化 / マイクロX線CT / 有孔虫 / 石灰化生物 / pH
研究実績の概要

近年の急激な二酸化炭素濃度上昇に起因する海洋酸性化に伴い,石灰質(炭酸塩)の殻・骨格を形成する海洋生物への多大な影響が懸念されている.しかし,海洋表層における主要な石灰化生物・プランクトンである浮遊性有孔虫が,海洋酸性化をどう反映するのかについては定性的な議論にとどまっている.その理由は,有孔虫骨格が微小かつ複雑な形態であるため,石灰質殻の正確な測定方法がなく,これまで間接的手法でしか酸性化の影響を検証できなかったからである.近年実用化されたマイクロX線CTは,1um以下の解像度で有孔虫殻(密度・体積)を測定可能なため,これを用いれば,直接,有孔虫の石灰化への影響を精密に検証できる.
2019年度は,環境パラメータを制御した飼育実験で,より溶解しやすい大型底生有孔虫(Marginopora kudakajimensis)を用いた分析を行った.これらの飼育個体については,無性生殖後に水温一定(25°C)でpHのみを4段階で変化させた(pH7.7-pH8.3)環境で生育させているため,pHと炭酸塩生産量との定量的な関係式を明らかにすることができる.有孔虫の相対殻密度・殻体積は,マイクロX線CT測定結果および解析より求めることができる.その結果,標準試料も含めた117サンプル全ての測定を終了させ,pHと有孔虫殻体積との間に明瞭な相関があることを明らかにした.また,殻体積を確定できたことにより,個体重量測定より殻密度の算出ができるため,殻重量をコントロールする項目についても検証を進めることが可能となった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

2019年度は,サンプル数は一番多いが一番定量的な結果が明らかになると予想される,飼育実験個体の分析に取り組み,3月までに全ての飼育実験個体試料についての分析を終了することができた.これは,当初の予定をはるかに上回るペースであり,その理由としては1)マイクロX線CT測定方法を手間はかかるが,より定量的でかつ多数同時測定可能な手法を試してみた結果,その手法が予想以上に上手くいった,2)同僚の方のご配慮により,まとまったマシンタイムを融通してもらえることができた,3)マシントラブルの少ない時期にたまたま当たった,などが挙げられる.特に1)については,来年度以降も別の試料分析において応用が期待されるため,本研究課題のさらなる進展が見込まれる.

今後の研究の推進方策

本研究課題は順調に進展しており,今後もこのまま予定された作業(飼育実験分析結果の解析および論文投稿,セジメントトラップ試料・堆積物試料の分析)を進めていきたい.
2020年度は,新型コロナウイルス感染症予防により,研究集会や研究発表などでの現地開催中止などが危惧されるが,その場合にはオンライン開催やWeb会議などを活用して対応していきたい.

次年度使用額が生じた理由

2月末に国内研究集会の参加を予定していたが,新型コロナウイルス感染拡大予防のために中止となったため,次年度使用額が生じた.今年度の同じ研究集会に再度参加して使用する予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Perspective on the response of marine calcifiers to global warming and ocean acidification?Behavior of corals and foraminifera in a high CO2 world “hot house”2019

    • 著者名/発表者名
      Kawahata Hodaka、Fujita Kazuhiko、Iguchi Akira、Inoue Mayuri、Iwasaki Shinya、Kuroyanagi Azumi、Maeda Ayumi、Manaka Takuya、Moriya Kazuyoshi、Takagi Haruka、Toyofuku Takashi、Yoshimura Toshihiro、Suzuki Atsushi
    • 雑誌名

      Progress in Earth and Planetary Science

      巻: 6 ページ: -

    • DOI

      10.1186/s40645-018-0239-9

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Effects on larger benthic foraminiferal shell density under global warming2019

    • 著者名/発表者名
      Shunichi Kinoshita, Azumi Kuroyanagi, Hiroshi Nishi, Osamu Sasaki, Kazuhiko Fujita, Atsushi Suzuki, Hodaka Kawahata
    • 学会等名
      Japan Geoscience Union Meeting 2019
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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