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2019 年度 実施状況報告書

太古の環境と微生物復元につなげる温泉成シリカ堆積物の長期観測

研究課題

研究課題/領域番号 19K04058
研究機関佐賀大学

研究代表者

高島 千鶴  佐賀大学, 教育学部, 准教授 (10568348)

研究分担者 狩野 彰宏  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (60231263)
奥村 知世  高知大学, 海洋コア総合研究センター, 特任助教 (90750000)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードシリカ堆積物 / 温泉 / 縞状組織
研究実績の概要

本研究は先カンブリア時代の地球環境の記録媒体として期待される縞状鉄鉱層やストロマトライトのシリカ質な部分に微生物や初生的な微細構造が良く保存されることに着目し,成分的・組織的に類似している温泉成シリカ堆積物をモダンアナログとして分析を行っている.
本年度は鹿児島県指宿市にあるたまて箱温泉に堆積しているシリカ温泉堆積物について研究を進めた.たまて箱温泉水は典型的な海岸型温泉であり,ナトリウム・塩素・カルシウムを多く含み,マグネシウムが非常に少ない.また,シリカを約190 mg/L含んでいる.シリカ温泉堆積物は湯元から下流にかけて約17m分布しており,湯元を含め分析ポイントを設定し,水試料と堆積物試料の採集を行った.今年度は,主に堆積物の鉱物組成や堆積組織の特徴など基礎的な情報を収集した.いずれのポイントも,XRD分析により主にシリカで構成され,わずかに塩化ナトリウムの結晶を含むことが判明した.肉眼観察によると,堆積物の断面には堆積面に平行な有色層と白色層の幅mm単位縞状組織が見られた.最上流部の堆積物は下流の堆積物と比較して緻密で,最も有色層が多い.中流堆積物は最も縞状組織が明瞭である.下流の堆積物は孔隙質な白色層が優勢で,縞状組織は不明瞭である.シリカ堆積物は上流から下流にかけて,有色層は減少し,孔隙質になる.有色層は緻密であり,元素マッピングによると鉄などの金属元素が多く含まれることがわかった.一方,光学顕微鏡で観察すると白色層は孔隙質であり,孔隙間には透明なフィラメント状微生物が確認できた.このとは,シリカの沈殿に微生物代謝が関係していることを示唆している.これらの結果からシリカ堆積物の縞状組織の周期は温泉水の酸化還元状態や微生物代謝の周期を反映していると推測される.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の研究により,たまて箱温泉に発達するシリカ堆積物の縞状組織の特徴が明らかになった.その結果から,縞状組織の周期を明らかにするために行う堆積速度実験の最適ポイントを設定し,実験を開始している.このことから,概ね順調に進んでいると言える.

今後の研究の推進方策

たまて箱温泉のシリカ堆積物について引き続き研究を進める.シリカ堆積物に発達する縞状組織は温泉水の酸化還元状態や微生物代謝の周期を反映していると推測される.来年度はシリカ堆積物について 1)電子顕微鏡等を用いたより詳細な堆積物観察,2)白色層に確認された微生物を遺伝子解析により特定を行い,3)FISH法を用いて堆積物中の微生物の分布を示し,4)現地での堆積速度実験を行う.これらの結果から,微生物代謝と鉱物沈殿の関係や縞状組織の周期を明らかにする.

次年度使用額が生じた理由

水分析に関する物品費と消耗品費が予定より安価になったため,未使用額が生じた.来年度の水分析や遺伝子解析に関する消耗品代として使用する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Textual characteristics of laminated silica hot spring deposits in Kagoshima Prefecture2020

    • 著者名/発表者名
      高島千鶴,奥村知世,狩野彰宏,角縁進
    • 学会等名
      地球惑星科学連合大会2020

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公開日: 2021-01-27  

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