板鰓類の子宮ミルクは、脊椎動物で最古の授乳システムである可能性があるが、その進化は十分に解明されていない。本研究では、子宮ミルクを分泌することが疑われているアカエイ類とネズミザメ類を調査した結果、彼らが出生前まで腸内に大量の糞を溜め込むことが明らかとなった。さらに、この糞は炭酸カルシウムの結晶を大量に含んでいることが明らかとなった。この炭酸カルシウムの結晶は、胎仔の腸内がアルカリ性に保たれている可能性を示唆する。これは、胃がまだ機能しておらず、胎仔の腸内細菌叢が親と異なることによって説明できる。腸内結晶は、地層中で長期的に保存されることから、授乳の進化を解明する直接証拠になりうる。
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