本研究では、複合材構造に内蔵した圧電センサネットワークによる、異物の秒速200メートル程度までの低速~高速衝突を受ける複合材構造の実時間衝撃荷重同定法を開発し、複合材構造の安全性・信頼性の向上を図ることを目的としており、本研究において提案する、異物の高速衝突を受ける複合材構造の実時間衝撃荷重同定法の有効性について、数値シミュレーション、および実験に基づく検討を行った。 前年度(令和3年度)に実施した低速~中速衝撃荷重同定シミュレーション、および実験において、異なる加振振動数成分を有する複数の衝撃荷重を用いて決定された変換行列を用いる衝撃荷重の作用位置・荷重履歴同定方法の有効性について検討を行った。そこで、補助事業期間を延長した上で最終年度となる本年度(令和4年度)は、本研究において提案する、レーザ・アブレーションを用いた加振実験に基づいて決定された変換行列を用いる衝撃荷重履歴同定方法の有効性について検討を行った。パルスレーザを用いた加振実験に基づいて決定された変換行列を用いることにより、低速(インパルスハンマ打撃)衝撃荷重の荷重履歴を精度良く同定できることを実験を通じて明らかにした。 研究期間全体を通じて、圧電ひずみセンサのセンサ応答と秒速200メートル程度までの低速~高速衝撃荷重を関係づける実験的変換行列に基づく、荷重位置・荷重履歴の実時間同定法の構築を行うとともに、提案する実時間衝撃荷重同定法の有効性について、アルミニウム合金平板、および複合材積層板を対象とした数値シミュレーション、および低速(インパルスハンマ打撃)~中速(エアソフトガンを用いたプラスチックBB弾の打ち込み)~高速(パルスレーザ照射)衝撃試験を通じて明らかにした。
|