通常の手法で作製した溶製のβ型Ti合金上に,粉末のTi-6Al-4V合金粉末を積層造形することで,ハイブリッドな構造を創製する.昨年度までにハイブリッド構造体をシミュレートするため,汎用性のある鉄鋼材料のマルエージング鋼を選択し,溶製鋼板の上に同材の粉末を積層造形した.さらにチタン合金であるTi-6Al-4V合金の溶製板上に,Ti-6Al-4V合金の粉末を積層造形した.Powder Bed Fusion(PBF)形式のSelective Laser Melting(SLM)機に厚さ13mmの板材を設置し,その上に厚さ2mmで,引張り試験片の形状となるように積層造形を施した.放電加工によるスライスを行い,積層造形部と溶製部がいずれも2mmとなるTi合金のハイブリッド構造体を作製することに成功した.ハイブリッド構造では界面を境として微視構造は大きく変わるが,界面における冶金学的な接合状況は良好であること,溶製板材の微視構造は,界面に向かって組織が微細化することを確認した. 最終年度は,ベータ型チタン合金であるゴムメタルを基材とし,PBF形式のSLM機を利用してゴムメタル上にTi-6Al-4V合金を造形し,異種金属からなるハイブリッド構造体を作製した.境界部では溶融した原料粉末が固相の溶製板材上で連続的に凝固するが,ゴムメタルとTi-6Al-4V合金では融点が異なり,合金成分の多いゴムメタルが低融点となるため,Ti-6Al-4V合金の同種金属でハイブリッド構造を作製した場合よりも,境界部での凹凸が激しくなることを明らかにした.
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