脊椎は複雑な構造を有しており,その運動は6自由度である.しかし,脊椎を対象とした,6自由度すべての方向の力/トルクおよび変位/角変位の計測・制御が可能な試験機は構築されていなかった.したがって,種々の脊椎疾患が脊椎運動に及ぼす影響についても十分に検討されていなかった.その結果,各疾患に対する治療,例えばいかなる脊椎固定術を施すのかについて,その選択は医師の主観や経験が支配的となっている.このような現状に対し,本研究の成果は,客観的・定量的な脊椎疾患治療を提供するための一助となるとともに,最適な治療方針の選択は過剰な治療の減少に繋がることから,医療費の削減にも貢献できると考えられる.
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