研究課題/領域番号 |
19K04080
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研究機関 | 釧路工業高等専門学校 |
研究代表者 |
高橋 剛 釧路工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (50435393)
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研究分担者 |
NGUYEN THANHSON 釧路工業高等専門学校, 創造工学科, 助教 (00797235)
木村 真晃 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (90285338)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 固相接合 / 摩擦圧接 / セラミックス / 自己修復機能 / ガルバニ電池腐食 / 溶射 |
研究実績の概要 |
摩擦圧接は固相接合の代表格であり,高い生産性に高い接合強度を誇り,古くから産業界で用いられてきた.しかし,これまでは金属同士の接合がほぼ100%であった.一方,耐高温性,耐摩耗性,高硬度を有するファインセラミックスは金属とは異なる優れた特性を有し,近年著しく工業的用途を拡大してきた.更に,最近になって炭化ケイ素などの特定の元素を添加し高温下で保持することで亀裂の自己修復ができることが明らかになったが,その硬さから切削加工等が難しいことと一般的に価格が高いことがネックになっていた. そこで,本研究では,溶融接合では不可能なセラミックスと金属を摩擦圧接により接合することで,セラミックスの特長を活かせる過酷な環境に晒される部位にのみ限定適用し,それ以外は安価な金属にすることで大幅なコスト削減を図ることを目的とする.加えて,接合時に発生する界面亀裂を自己修復機能により修復させ,耐久性を向上できるので,将来的にはセラミックス製エンジンピストンやセラミックエンジンの実現への可能性が広がる. 研究初年度は,中実Al合金(AC8A)丸棒(以降Al材と記述)と市販アルミナAl2O3丸棒の接合を行った.また,自作Al2O3と市販のそれの熱拡散率を計測した. 本研究で得られた結果を以下に示す.①自作Al2O3は市販のそれに対して密度が小さいため硬度,熱拡散率等の問題が明らかとなった.②SPS法によるSiC溶射では自己修復を十分に行うほどの添加量には至らなかった.やはり焼結前に添加することが妥当と考えられる.③これまで成功が確認されていないAl2O3とAl合金の摩擦圧接が成功したことからその他のセラミックスと金属材料の摩擦圧接について今後の発展が期待できる.④本実験では摩擦圧接の条件を具体的に設定しなかったため実用に最適な接合条件を追求する必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
自己修復機能を付与するため,当初,セラミックを焼結される際に修復機能材料SiCを混入させる方法を採用したが,成形できない失敗が繰り返され遅れを挽回できなかなった.
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今後の研究の推進方策 |
やや遅れの理由にもなった上述した成形失敗を回避する対策として,初年度後半から接合面への自己修復材の溶射する方法へと工法変更を行ったところ,濃度は極低いがコーティングされたため,溶射条件の適性化を図り,濃度向上を目指す.これと並行して当初の工法予定だった自己修復材混入後焼結法をCIPに切り替えて改めてトライする.
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末近くに予定していた国際学会が新型コロナ肺炎拡大により中止になり,旅費を消化できなかった.また,購入予定だった物品も調達に時間がかかったり,コロナで物流が滞り,購入できなかった.
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