• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

炭/酸化混合チタン膜によるチタン合金の高機能化と表面ナノ構造の創製

研究課題

研究課題/領域番号 19K04086
研究機関茨城大学

研究代表者

中村 雅史  茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (60302329)

研究分担者 崎野 純子  茨城大学, 理工学研究科(工学野), 技術職員 (40272116)
阿相 英孝  工学院大学, 先進工学部, 教授 (80338277)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード表面改質 / チタン合金 / PVD / アノード酸化 / 熱酸化 / TiC / TiO2
研究実績の概要

本研究の目的はドライプロセス表面改質法とウェットプロセス表面改質法とを融合させて、チタンおよびチタン合金上に優れた高耐摩耗性,潤滑性および光触媒性などを併有する革新的な高機能性皮膜を創製することである.すなわち、スパッタリングで成膜した炭化チタン(TiC)膜に対して酸化処理を行なうことで,TiC膜に酸素を混合させて「TiC-TiO2混合膜(Ti(C,O)膜)」を創製し,TiCの硬さと耐摩耗性,潤滑性および酸化チタン(TiO2)の光触媒性などの両者の機能を最適に発現できる皮膜を開発する.
本年度はUBMS装置によりTi基板上に炭素量の比率を変えて成膜したTiC単層膜について,熱酸化処理とアノード酸化処理を施した材料について調査を行った.
まず,未処理のTiC膜は炭素量が多いほど硬さが大きくなることを確認した.次に熱酸化処理を施したTiC膜について評価した.熱酸化は電気炉により温度を変えて行った.その結果,皮膜の硬さは低炭素量の場合は温度に影響されずほぼ変化はないが,高炭素量の材料は温度が高いほど低下することが分かった.次に熱酸化材の光触媒性能を評価するために有機物分解試験を行った.その結果,熱酸化温度と炭素量の相違によって光触媒性能が異なり,炭素量が46at%で773Kで処理したものが最も性能が高くなり,その性能はTi基材と比較して20倍ほどであることが分かった.さらに摩擦摩耗試験からTiC皮膜では炭素量が多いものほど耐摩耗性に優れているが,熱酸化した皮膜は炭素量が多いほど耐摩耗性が劣化することが分かった.これらの光触媒性能と耐摩耗性はXRDによる結晶構造解析から結晶構造に関連していることが示唆された.一方,アノード酸化法により酸化した皮膜は炭素量にかかわらず硬さおよび光触媒性に変化は認められず,今後アノード酸化の条件等を検討する必要があると示唆された,

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は熱酸化処理とアノード酸化処理を並行して研究を実施した.熱酸化処理についてはTiCとTiO2の機能を有するTi(C,O)膜が作成でき,炭素量や温度によって最適化される可能性があることが明らかとなった.しかしながら,本研究でメインの酸化法と位置付けていたアノード酸化法では,TiCとTiO2混合膜がうまく作成できなかった.今後はアノード酸化の条件などを検討する必要がある.

今後の研究の推進方策

今後は以下の研究を推進する.今年度と同様にアノード酸化法と熱酸化法によるTi(C,O)膜の創製を並行してすすめる.
①TiC/TiO2混合膜を創製するためのアノード酸化の処理条件を検討する.
②TiC膜とC膜,TiC膜とTi膜の積層膜などの酸化によるTiC/TiO2混合膜を創製とその評価を行う.
③TiC/TiO2混合膜によるナノ微細凹凸構造の創製する.
④TiC膜のほかにTiN膜を酸化したTiN/TiO2混合膜も同様に検討する.

次年度使用額が生じた理由

理由:物品費で購入した電気炉を予定より安く購入することができたため.
使用計画:本研究ではTi(C,O)膜の光触媒性評価のために有機物分解法を用いているが,今年度は有機物分解の程度をメチレンブルー溶液の色の変化で評価している.色の変化はカラーアナライザーで計測しているが,この方法では誤差が大きい.そこで次年度は分光光度計による測定に切り替えることを検討しており,分光光度計購入の費用として使用することとする.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 高機能TiC/TiO2混合膜の創製2019

    • 著者名/発表者名
      大隅翔吾,中村雅史
    • 学会等名
      表面技術協会,第140回講演大会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi