研究課題
量子-古典ハイブリッド分子動力学シミュレーションにおいてこれまで利用してきたプログラムを材料変形シミュレーションに活用できるように拡張し、グラフェンおよびアルミニウムの対称傾角粒界の引張変形に対する結晶方位差依存性に適用して古典分子動力学シミュレーションからのずれを評価した。量子力学に基づいた手法の膨大な計算負荷に起因するシミュレーション可能な時間・空間的な制約のために材料の変形等をシミュレーションで行う際に工夫が必要となる。本研究ではその工夫としてフレキシブルに非平衡状態を生成するための新規手法を開発した。特に最終年度では、前年度に開発した非一様な温度場を生成するプログラムを用いて実現された非平衡状態の詳細な解析を実施し、さらに材料の変形へ適用するための定式化を行い、古典分子動力学シミュレーションにより想定した変形が実現できていることを確認した。また、チタン酸バリウムに代表されるペロブスカイト型誘電体のドメイン壁は双晶境界に対応しており結晶粒界に関する知識が活かせるため研究対象に含めた。最終年度では前年度までに開発した強誘電体で用いられるコア-シェル型ポテンシャルに対応した分子動力学シミュレーションプログラムを用いてチタン酸バリウムのバルク内でのドメイン成長の結晶欠陥依存性や90度ドメイン壁の安定性について評価した。コア-シェル型ポテンシャルは金属原子の分極に対しても活用可能であり、本プログラムを金基板と水の界面に適用し、基板の帯電状況による水分子のダイナミクスの違いについてミクロな立場から明らかにした。
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International Journal of Circuits, Systems and Signal Processing
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Physical Review E
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