研究課題/領域番号 |
19K04091
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
神谷 庄司 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00204628)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | silicon / fatigue / crystal defect |
研究実績の概要 |
2019年度から3年間の計画ではじまった本研究においては、開始後1年にも満たない2020年初頭からはじまったCOVID-19パンデミックによる諸々の制約やあからさまな妨害により憲法で保証されるはずの学問の自由が侵害され、当初計画通りには行動できない予想外の展開が続き、残念ながら現在に至るまで当初予期した体系的成果を得るまでに至っていない。しかしそれでも可能な限りの努力を続け、限定的な範囲にはとどまるものの、以下に述べる画期的な新規知見も得られており、パンデミックがようやく落ち着きを見せはじめる中、当初計画を超える次の展開へ向けての基盤を整えることができた。 まず2019年度初頭からは、顕微鏡中での観察を企図する試験デバイスの設計と並行して、別途p-n接合を作製した繰返し圧縮試験片により基本的疲労挙動の確認を進めていた。この過程で、電子線誘起電流(EBIC)が減少する領域では結晶状態に強い乱れが発生して背向散乱による結晶方位の確認が困難となり、同時に試験片表面が膨張する変形が見られることが明らかになった。これは、シリコンの疲労過程が、同じ結晶配列を有する金属銅のそれに類似した現象であることを強く示唆する結果であり、本研究で意図した疲労過程でのその場観察の対象を絞り込むことに大きく貢献する画期的新規知見となった。この成果は、続く研究発表の項目で紹介する2019年の学会での2件の発表として公開されている。 その後2020年に入ってのパンデミックの影響で、現在に至るまでの進捗が滞っていることは、残念ながら上記のとおりである。しかしながら、2021年にはこれまでに得られた知見を総合して論文を執筆し、研究発表の項に記載したとおり、 2021年度中に掲載決定に至る成果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度から3年間の計画ではじまった本研究においては、開始後1年にも満たない2020年初頭からはじまったCOVID-19パンデミックによる諸々の制約やあからさまな妨害により憲法で保証されるはずの学問の自由が侵害され、当初計画通りには行動できない予想外の展開が続いたため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、先の実績の概要の項で述べたように、シリコンの疲労過程が実は金属材料のそれに類似のものであることを強く示唆する、画期的な新規知見が得られている。そこで、この新たな成果を踏まえ、研究計画当初の視点に加えてこの新規知見の検証をも可能とするよう、実験観察用デバイスを改良設計する作業に既に着手した。 本計画の基金としての特徴を生かして第4年度に繰越した資金により、今後速やかに改良型デバイスの製作に移行し、当初計画を上回る成果を上げることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年初頭からはじまったCOVID-19パンデミックによる諸々の制約やあからさまな妨害により、憲法で保証されるはずの学問の自由が侵害されたため。 今後速やかに改良型デバイスの製作に移行し、当初計画を上回る成果を上げることを目指す。
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