SUS304ステンレス鋼は耐食性や機械的性質に優れているので、薄膜化できれば新しい用途が広がることが期待できる。しかし、スパッタ法で室温の基板上に薄膜を成長させると、バルクとは異なったα相となってしまうため、バルクと同じγ相の薄膜の特性は調査されていなかった。本研究では、γ相の薄膜を安定に成長させる条件を確立し、同じ組成で異なった相の薄膜の特性を調査しようとしたことに学術的な意義がある。また、応力によってバルクと同様のγ→α相変態が誘起できたので、応力が加わった部分を2次元的に記録できるメディアのような新しい用途の可能性を示すことができたという点で意義深い。
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