本研究は,個別多軸工作機械の特性を生かした工程設計のために必要な加工事例取得に関し,仮想(コンピュータ)空間に多軸工作機械に対するデジタルツインを構築し,シミュレーションによる事例を取得する方法を提案することを目的としている. 2021年度は, 2020年度の積み残しである,デジタルツインの自律的フォードバックの実装と,実施事項Ⅲ:多軸工作機械のデジタルツインによる工程設計への応用の検討を行った.さらに,提案する方法のうちデジタルツインの自律的フォードバックに関する研究を日本機械学会(JSME)主催の第10回JSME先端生産技術に関する国際会議LEM21にて発表,提案に対する評価を得た. デジタルツインの自律的フォードバックの実装に関しては,購入した4軸工作機械に対する誤差モデルの再検討を行い,誤差モデルに対する実加工形状の測定に基づく工作機械モデルの修正を行う機能を実装し,デジタルツインの自律的フォードバックを行った.この項目は,前年度の購入備品である測定機を用いて測定した形状から,デジタルツインに含まれる誤差パラメータを導出することで,デジタルツインの自律的フォードバックを行う方法であり,購入設備を用いて実装した. さらに,蓄積された加工プロセス情報と,シミュレーションによって得られる加工プロセス情報を用いて個々の多軸工作機械固有の工程設計を実現するためのデータ解析方法を,申請者らが提案した加工データベースを用いた工程設計アルゴリズム構築方法をもとに検討を行った.
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