研究課題/領域番号 |
19K04103
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
韋 冬 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (70610418)
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研究分担者 |
明田川 正人 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (10231854)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 長さ計測 / 歪みのある離散フーリエ変換 |
研究実績の概要 |
2009年7月,日本における長さの国家標準は,He-Neレーザからフェムト秒光周波数コム(光周波数コム, Femtosecond optical frequency comb: FOFC)に変更された.本研究は光周波数コムレーザーを用いた絶対長さ計測の実現を目指す.レーザー光線を用いた干渉計で長さを計測する.その際,位置情報を持つ干渉縞が記録される.干渉縞から位置情報を復調する必要性がある.復調処理はデジタル信号処理で実施している. 干渉縞から包絡線を復調する際に必要とされる,信号の周波数スペクトルに対するフィルタ処理が必要である.信号とノイズが持つ周波数特性に着目することでフィルタを自動決定する手法を提案した. 提案法を確認するために,まず,数値計算を実施した.生成した干渉縞に対して一様分布を持つ白色ノイズを加え,提案法を用いて干渉縞包絡線の復調を行った.復調された包絡線ピーク位置は従来法と比較して安定していることが確認できた.提案法を光学実験で確認した.実験系を構築し干渉縞を検出した.安定した実験条件下で複数の干渉縞を検出した.得た複数の干渉縞に対して提案法を適用し,包絡線を再生できることを確認した.得られた包絡線ピーク位置を従来法により求めた結果と比較した. 上記のように干渉縞データに対して,周波数領域で信号とノイズを分離する処理が必要である.信号とノイズとの周波数特性を利用した方法や閾値を用いた処理もある.その場合,経験及び設定結果の任意性がある.そこで,本研究は,信号のゼロクロス率及び瞬間周波数におけるエネルギーを評価し,信号とノイズとの分離を試みた.本研究は,この二つの指標を用いて,クラスター分析を行う.クラスター分析で信号とノイズとの分離を試みた. そのほかに,別の機械学習手法を用いた方法や復調した包絡線の高分解能も研究した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
光学実験で使用する実験室は恒温恒湿室である。そのため、常に外部との換気ができない。新型コロナの影響で、感染を防ぐために、実験に参加できる人の数を制限したり、一人当たりの実験時間を短くしたりした。そのため、光学実験の構築に遅れが生じた。 光周波数コムレーザが故障して、実験の一時中断が余儀なくされた。
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今後の研究の推進方策 |
干渉計でパルス列による干渉縞を観察し,長さ情報を記録する.記録した長さ情報を得るためには,干渉縞を信号処理して,包絡線を復調する.復調した包絡線のピーク位置を求めることで,測長が実現される.これは,これまでの処理法である.これまでの干渉縞の信号処理では,離散フーリエ変換ペアを用いた. 本研究で必要なのは,包絡線ピーク位置のみである.そのため,包絡線ピーク付近の判別に使えるサンプリング点の数が測長の分解能を決める.従来法では,すべての包絡線を同じサンプリング点で復調していた.つまり,包絡線のどこでも同じサンプリング点数を有する.包絡線ピーク付近に多くのデータを集めることができれば,包絡線のピーク付近の分解能を向上させることを期待している. 離散フーリエ変換の代わりに,歪みのある離散フーリエ変換を使う.歪みのある離散フーリエ変換を用いた干渉縞包絡線復調によって,得られたピーク付近の位置分解能を従来法と比較する.従来法と提案法の計算の複雑さも比較する. 光学実験に関して,光ファイバーを光学システムに導入して,空気の揺らぎなどによる外乱を抑える.参照ミラーを掃引するPZTステージの走査周波数を高くして,高い変調周波数でよりノイズの影響を抑える.
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