研究初年度は従前の試験装置の課題改善の取り組んだ.スクイーズ効果は高周波振動を加振することで被加振面との間に自律的に空気圧力を生成するが,加振面と被加振面の平行度が圧力生成に左右される.そこで加振機構にゴニオステージを組み込む試験装置を構築することで平行度調整を容易に行えるようにした.従前装置と比較してテーブル浮上変位は1.6倍,負荷容量は2~3倍の性能を示すことが確認できた. 二年目はスクイーズ効果の浮上特性であるテーブル揺動について試験と評価を行った.テーブルは逆ハの字型をしており,傾斜部に圧力をかけることで浮上支持するが傾斜角度を8°,10°,12°の3タイプ用意してそれぞれに対して鉛直,水平方向の振動周波数,振幅を計測,解析した.鉛直振動は加振に同期した周波数成分が卓越することは予測通りだったが,加振周波数の2倍の成分も卓越することが確認された.このメカニズムをさらに追究したところ,水平方向は加振周波数の2倍が卓越しており,テーブル側部の傾斜によって水平振動の鉛直成分が表れていることが分かった.これらの結果よりテーブル振動の方向や触れ回りを定性的に推定できた. 三年目以降はテーブルの位置決め性能について試験と評価を行った.微動変位を推定するため見積計算を検討した.空気膜厚変化から幾何学的に算出する手法を編み出した.位置決め試験は長ストローク,小ステップ,高分解能ステップの3種類を3タイプのテーブルに対して実施した.加振振幅変化に応じてテーブルが微動することを確認した.平行度が位置決め精度に及ぼすメカニズムを追究することが今後の課題である.
|