焼結ダイヤモンド(以下、PCD)の工具成形方法と、その際の表面状態および工具寿命の相関を明らかにするため、油放電加工(以下、EDM)とフェムト秒超短パルスレーザー(以下、fsUFPL)加工で成形したPCD工具に対して、ラマン分光計測によるPCD加工表面のダイヤモンド成分の定量評価、および実際に制作した1枚刃のPCD刃物を用いてのガラスエポキシ樹脂に対するエンドミル加工における寿命試験を実施した。 今年度の成果として、レーザー波長785nmの連続光タイプのレーザー光を用いたラマン分光装置を作成し、それを用いて加工後のPCD刃物のラマン分光計測を実施し、その信号強度からPCD刃物成形後のダイヤモンド残留割合を定量評価した。その結果、刃物成形後の加工点付近においてダイヤモンド層の加工前との比較による残留割合が、油EDM成形とfsUFPL加工成形でそれぞれ28%および56%であり、fsUFPL加工成形の方がレーザー加工表面の熱影響層が少ないことを確認した。 また、油EDMおよびfsUFPL加工で刃付けしたエンドミルを用いてガラスエポキシ樹脂エンドミル加工時における刃先丸みの切削距離依存性を実施した。加工手法としてはt3のガラスエポキシ樹脂の側面加工であり、レーザー顕微鏡を用いて刃先丸みの切削距離依存性を計測した。その結果、fsUFPL加工で刃付けしたエンドミルの方が油EDMで刃付けしたエンドミルよりも刃先丸みの大きくなる切削距離が長いことを明らかにした。これは、fsUFPL加工エンドミルの方が油EDM加工エンドミルよりも切削寿命が長いことを示している。
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