高能率化は研削加工において大きな課題である.この高能率化を達成する方法としてクリープフィード研削とハイレシプロ研削が提案されている.クリープフィード研削とは工作物送り速度を低くし,砥石半径切り込み深さを大きくする高能率研削法である.また,ハイレシプロ研削は工作物を高速反転運動させ,砥石半径切り込み深さを小さくする高能率研削法である.しかしハイレシプロ研削では,砥粒に加わる負荷が大きくなるため,砥粒脱落が増加することによる磨耗が促進することが懸念される.そこで本研究ではハイレシプロ研削における砥石磨耗を抑制するための研削条件および砥石選定指針を明らかにするために砥石摩耗メカニズム解明を進める.また,インコネル718やワスパロイなどのニッケル基耐熱合金は航空産業など広く使用されるようになっている.しかし,これらの材料の熱伝導率は低く,研削熱の影響が大きくなるため砥石寿命が短くなることが問題となっている.そこで本研究では研削熱発生の抑制方法として,ハイレシプロ研削を採用することを提案し,その研削特性を明らかにする. 2021年度はハイレシプロ研削における研削温度を測定し,研削熱を抑制するために必要な研削条件の最適化について検討した.また研削熱以外に,砥粒に加わる負荷も砥石摩耗に影響する.連続砥粒切れ刃間隔が大きくなると砥粒切込み深さが大きくなり,結果として砥粒に加わる負荷が大きくなる.そこで,この連続砥粒切れ刃間隔が砥粒分散によってどのように変化するかを検討し,その評価方法について明らかにした.
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