研究課題
基盤研究(C)
本研究では,液体窒素などの極低温冷媒による冷却環境下における切削加工での被削材表層の熱伝達特性と切削時のすくい面温度について検討した.被削材表層の冷却効果は熱伝導率の小さな材料ほど高い.超硬工具によってチタン合金を切削したところ,切削速度が低く,送りが小さいほどすくい面温度の低下に及ぼす効果が大きい.冷却の効果は送りを小さくするより切削速度を低くするほうが高い.
生産工学・加工学
航空機等に使用される耐熱金属は高融点で低熱伝導率なため切削温度が高く工具摩耗が大きい.このためクーラント技術が重要であるが,切削液は環境汚染や作業者の健康被害など悪影響も多い.液体窒素や液化二酸化炭素による極低温切削では,切削液の廃棄がなく,製品の洗浄工程が省略できるなど利点が大きい.本研究は,極低温切削における工具および被削材表層での熱伝達状態を明らかにし,環境負荷の小さな機械加工技術の実現を目指す点で社会的意義は大きい.