研究課題/領域番号 |
19K04136
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター |
研究代表者 |
三浦 由佳 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部技術開発支援部3Dものづくりセクター, 副主任研究員 (10807647)
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研究分担者 |
長井 超慧 東京都立大学, システムデザイン研究科, 准教授 (20586002)
大竹 豊 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50425617)
月精 智子 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部技術開発支援部3Dものづくりセクター, 主任研究員 (80520220)
紋川 亮 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部技術開発支援部3Dものづくりセクター, 上席研究員 (10399397)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高速X線撮影手法 / ラチス構造 / In-Situ形状計測 / 金属プリンタ |
研究実績の概要 |
現在、3Dプリンタの特徴を生かした技術であるラチス構造が注目されている。しかしながら、ラチス構造の強度がどのように影響するか不明な部分が多く、その利用は限定的である。そこで本研究は、CADで設計し造形したラチス構造体の圧縮過程をリアルタイムX線撮影(In-Situ法)することを目標としている。 本年度は、2019年度に開発したX線CT装置内に設置するIn-Situ圧縮試験機に付属しているソフトウエアを一定の圧力を一定の時間圧縮し続けられ、かつ何サイクルも圧縮することができるように更新した。 構造変化抽出プログラムの作成に関しては、2019年度に開発した4次元CT再構成法の有効性を実験により実証した。加えて、時間変化するラチス構造の解析アルゴリズムを提案し、変形していく構造の骨組を抽出することに成功した。 さらに、トポロジー最適化によるラチス構造体の設計に関しては、2019年度に開発した、ラチス構造のX線CT画像に対する機械学習による高分解能化法を発展させ、より高画質な画像高解像度化を実現した。先行手法は学習データとして、低分解能X線CTデータの断面画像と高分解能X線CTデータの断面画像から対応する箇所を切り出し組にしたものを用いた。2020年度は、低分解能X線CTデータ・高分解能X線CTデータとも3次元的に切り出し組にしたものを学習データとするシステムを開発し、従来法よりも良好に欠陥観察可能な高解像画像が得られることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラチス構造体の圧縮過程をリアルタイムX線撮影するための、X線CT装置内に設置する圧縮試験機の開発およびソフトウエアの開発に成功している。 4次元CT再構成アルゴリズムの研究においては、4次元CT再構成法の実証にあたり、水を吸収して膨張するサンプルを用いた。膨張したサンプルが乾燥して徐々に収縮する過程を数日間X線撮像し続けることにより、実証データを作成し、変形していく形状の再現ができることを確認した。ラチス構造の解析に関しては、骨組み構造をグラフとして表現し、時系列で変化していくCTデータに合わせてグラフ節点を移動していくことにより、構造の変化が解析可能なデータを得ることができた。 画像高分解能化に関する研究調査を行い、3次元学習データを用いた拡張法を開発した。同一造形物のマイクロCTデータ(低分解能X線CTデータ)とナノCTデータ(高分解能X線CTデータ)を用いて実験を行い、従来法よりも低ノイズ・高コントラストで高分解能化可能であることを確認した。また、4次元形状データ処理への拡張に向けた文献調査を行った。4次元CTの模擬データを作成し、予備実験を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度内に高速X線CT装置が導入されたので、設計したラチス構造体を開発したIn-Situ圧縮試験機を用いて、圧縮しながらX線CTを撮像していく。 4次元CT再構成アルゴリズムの研究においては、これまでに開発してきた4次元CT再構成法は、1回転においての物体境界の移動距離が数ボクセル分であることを前提に考えている。そのため、CT装置内でサンプルを1回転するのに必要な時間の間に、サンプルが数ボクセルより大きい変形を伴う場合には提案法を適用することはできない。2021年度は高速度カメラを搭載した装置を利用して、この問題を解決することを目指す。具体的には、再構成計算に1回転分の透過像が必要ない手法を考えていく。 X線CT画像に対する高分解能化法の開発は、4次元CTデータの高画質高分解能化を目標とする。特に、4次元X線CTデータに生じる、動的観察に起因するボケに対して頑健性のある高分解能化法の提案を目指す。CTスキャンの一次データであるサイノグラム上での各点での移動量に着目することにより、ボケの低減をはかる。また、サイノグラム上の投影値の解析的微分を用いて、X線CT画像からの高精度表面抽出法を開発する。本研究により開発した手法により高解像度化したCT画像と組み合わせ、高精度高品質な表面メッシュの生成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定した物品を安価に購入できたため、残額が生じた。次年度に繰り越して使用する。
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