本研究では、高度な大域的最適設計技術の開発と共に、その垂直軸型小型風車の形態設計への応用を行った。最適設計技術としては、応答曲面法に基づく大域的な最適設計手法を整備すると共に、固有直交分解や独立成分分析等の次元削減技術を活用し、設計空間の低次元化手法について検討した。設計空間の適切な低次元化により、設計変数の総数を削減しつつも適切な形状表現自由度を保つ事ができ、その結果として効率的な最適設計を実現できた。また次元削減技術により得られる情報から、その最適設計問題における重要な形状変形モードを設計知見として抽出する事も可能となった。機械学習技術を活用した高次元設計空間に対する効率的な最適設計手法についても検討を進め、大域的探査と局所的探査の適切なバランスを動的に決定する探査戦略を提案した。本手法は70個の設計変数を有する空力トポロジー最適設計問題において検証を行い、その有効性を確認する事ができた。 垂直軸型風車に関する検討事例としては、ダリウス型風車周りの三次元数値流体解析を用いて、ブレード翼の外形形状及びそのブレード翼を端部で固定する翼端支持板の形態に関する調査及び最適設計を行った。本検討により、小型ダリウス型風車の性能向上に対する設計知見を得ることができた。高い性能を示した風車ローター形態に関しては実際に製作し、その実験性能評価も行った。実験においても、本研究で設計したローター形態の性能は高く、またシミュレーション結果と実験結果が定性的に一致しており、本研究で設計したローター形態の妥当性及び優位性を確認できた。
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