研究課題/領域番号 |
19K04143
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
土屋 淳一 東京都立大学, システムデザイン研究科, 助教 (70155406)
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研究分担者 |
安田 恵一郎 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (30220148)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 最適設計 / 優良解集合 / シミュレーション / モデリング / メタヒューリスティクス / 電磁界解析シミュレータ |
研究実績の概要 |
本研究の実績の概要は以下の通りである。 シミュレーション・モデリング・発見的最適化を統合した新たな最適化の枠組みである「統合的最適化システム」を提案し,実用的な計算時間で最適設計を実現可能なシステムを構築する一方で,評価値が一定以上優れ,かつ解相互の距離が一定以上離れた多様な解集合を探索する「優良解集合探索問題」を提案した。これまでに構築してきた統合的最適化システムの一層の汎用性・実用性の向上には,①優良解集合の概念と,②決定変数の離散構造を埋め込むことで,これまでに構築した統合的最適化システムを抜本的に再構築する必要がある。 本研究では,統合的最適化システムの一層の汎用性・実用性の向上を目的として,優良解集合の概念と決定変数の離散構造をも考慮した新たな統合的最適化システムの構築と電磁機器最適設計の応用に関する研究を行なう。初年度は,優良解集合探索問題のための Firefly Algorithm の改良と評価を行い,優良解における厳密な「優越関係」を導入し,優良解集合探索手法を改良,および,最適化の過程で生成される偏り構造を持つデータを補完するような新たなサンプル点追加戦略に関する検討に基づき,探索点履歴情報を活用した優良解集合と離散構造を考慮可能な新たな最適化とモデリングの結合・融合のあり方を検討した。 本年度は,優良解集合と離散構造を考慮した統合的最適化システムの基礎検討と優良解集合と離散構造を考慮した統合的最適化システムの基礎検討を行う予定であったが,コロナ渦の影響により,予定より進捗が遅れた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度は,研究代表者と研究分担者がこれまでに進めてきた単一目的最適化に基づく統合的最適化システム研究業績,および Firefly Algorithm に基づく優良解集合探索手法研究業績に関するこれまでの研究成果や知見を有機的に連携・活用することで,本研究課題の基礎的検討段階として,以下の検討を行った。(1) 優良解集合探索問題のための Firefly Algorithm の改良と評価: Firefly Algorithm に基づく手法に,優良解における厳密な「優越関係」と離散構造を導入し,優良解集合探索手法を改良し,(2)探索点履歴情報を活用した最適化とモデリングの融合:最適化の過程で生成される偏り構造を持つデータを補完するような新たなサンプル点追加戦略に関する検討に基づき,探索点履歴情報を活用した優良解集合と離散構造を考慮可能な新たな最適化とモデリングの結合・融合のあり方を検討した。 本年度は,本年度は,優良解集合と離散構造を考慮した統合的最適化システムの基礎検討と優良解集合と離散構造を考慮した統合的最適化システムの基礎検討を行う予定であったが,コロナ渦の影響により,研究の打合せ,および,検証に支障が出て,予定より進捗が遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は,以下の通りである。 令和3年度は,令和2年度の予定していたが,コロナ渦で遅れてしまった優良解集合と離散構造を考慮した統合的最適化システムの検討を行う。 (1) 優良解集合と離散構造を考慮した統合的最適化システムの基礎検討:探索履歴情報を活用して統合することで,優良解集合と離散構造を考慮した新たな統合的最適化システムを構築し,典型的なベンチマーク問題を用いた数値実験を通じて,構築した統合的最適化システムの性能を詳細に検証し,問題点および課題を明らかにする。(2) ベンチマーク問題を用いた統合的最適化システムの性能評価と課題抽出:上記で構築した統合的最適化システムを典型的なベンチマーク問題に適用し,探索性能,計算量,得られた優良解の評価と解析を多角的に行い,課題の抽出を行う。 その後は,応用研究に向け以下の通り進める予定である。 (3) 優良解集合と離散構造を考慮した統合的最適化システムの構築:構築した統合的最適化システムの課題を解決するように統合的最適化システムを改良し,優良解集合と離散構造を考慮した統合的最適化システムの完成を実現する。(4) 統合的最適化システムを用いた電磁機器の最適設計と性能評価:最終年度には,前年度までに得られたモータ最適設計結果を用いたシミュレーションにより,推力・推力リップル・鉄損などの諸性能が設計に近い状態で実現されているかを検証し,必要に応じて再モデリングやシステムの再構築を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本申請課題は,実際に電磁界解析シミュレーションとモデリングおよび最適化の計算を行う。これらは,いずれもコンピュータ上でのシミュレーションおよびプログラム開発となる。予定ではワークステーションを購入予定であったが,研究室の現有するコンピュータで開発したため,購入を次年度としたため,次年度使川額が生じた。 また,旅費を使用しなかった理由は,新型コロナウィルスの為,いくつもの学会がキャンセルもしくはオンライン開催となったためである。 (次年度の研究費の使用計画) 本申請課題は,新しい最適化システムの構築および数値シミュレーションとモータの試作・性能評価から構成されている。これらの課題はいずれもコンピュータ上でのシミュレーションおよびアルゴリズム開発となる。従って,これらの研究課題を効率的に進めるために,より高性能なコンピュータと,精緻な電磁界解析を行うために最新の電磁界解析ソフトウェアのライセンスを購入する。その他の主要な経費として計上した国内および海外旅費は,本研究に関係する国内学会および国際会議等へ参加および論文発表のための旅費として使用する。謝金は,研究を効率的に遂行するために,プログラム作成補助および実験補助の謝金としてこの経費を使用する。消耗品費はコピー用紙・プリンタートナーなどの消耗品の購入に使用する。
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