研究課題
2023年度では,連続時間マルコフ連鎖を用いて,安全関連系の運用段階において実際に観測され得る2通りの危害事象発生論理である「危険側フォールト・作動要求発生論理」および「作動要求・危険側故障発生論理」を網羅的に表現し,危害リスクを数理的に表現できるアプローチについて議論した.さらに,これに基づいて,プルーフテスト実施費用も含めた総コストを定式化し,この総コストを最小化する最適プルーフテスト実施間隔を導くための最適方策を数理的に与えた.2023年度に議論した上記のアプローチは,本研究課題の前半部分で開発したアプローチに残された問題点を解決するためのアプローチである.すなわち,本研究課題における前半部分で開発したアプローチは,2通りある危害事象発生論理のうち,「危険側フォールト・作動要求発生論理」のみしか表現できなかった.2023年度でのアプローチでは,2種類の危険側故障発生率(自己診断機能で検知できるDD故障発生率および自己診断機能で検知できないDU故障発生率)を加味しながら,DUフォールト状態やプルーフテスト状態などの状態を定義し,安全関連系の運用段階における安全関連系の状態を連続時間マルコフ連鎖を用いて網羅的に記述できることに成功した.また,構築した連続時間マルコフ連鎖から,安全関連系の危害リスクとプルーフテスト実施費用を合わせた総瞬間コストを導出し,プルーフテスト実施費用と危害コストとの比(危害コスト比)に応じて,総瞬間コストを最小化し最適なプルーフテスト実施間隔を求めるための最適方策を数理的に与えた.さらに,関連する国際規格であるIEC6150に準拠しながら,安全関連系への作動要求率や安全関連系のDU故障発生率等,実際に想定され得る様々な状況に対して,最適プルーフテスト実施間隔を実際に算出し,今回新たに提案した最適方策の適用例も示した.
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International Journal of Reliability, Quality and Safety Engineering
巻: 31 ページ: 2350038-1-16
10.1142/S0218539323500389
巻: 30 ページ: 2250028-1-17
10.1142/S0218539322500280
https://researchmap.jp/read0107035