研究課題/領域番号 |
19K04145
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
柏尾 知明 近畿大学, 理工学部, 准教授 (10581910)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 白色LED / パッケージング / 最適設計 / 機械学習 / ニューラルネットワーク / CNN / ディープラーニング / 人工知能 |
研究実績の概要 |
白色LEDパッケージングの最適設計を行うためには,設計パラメータと白色LEDの光学特性の関係を詳細に知ることが必要となるが,本研究では人工知能(機械学習)を用いてその関係をモデリングすることを目指している.白色LEDの光学特性は,主に青色発光素子の特性(出力,スペクトル等),蛍光体の特性,パッケージングの構造・特性によって決まることから,機械学習でその光学特性を予測するためには,それらの設計パラメータと光学特性の情報の組み合わせを学習データとして機械学習モデルに学習させる必要がある.これまで白色LEDの主な設計パラメータ(発光素子の放射束,蛍光体量)から光学特性(全光束,色度)の予測を行った.代表的な機械学習モデルである,Multi Layer Perceptron (MLP),Radial Basis Function Network (RBFN),Support Vector Regression (SVR),Random Forest (RF)と,線形回帰モデルの予測性能の比較を行ったところ,RFが最も予測性能が高く,他のモデルも概ね線形回帰モデルより高い性能を示した.また,蛍光体層の形状から全光束を予測する代理モデルを獲得することにも成功した. さらには,最新のモデルを含む数種類のConvolutional Neural Network (CNN)を用いて,白色LEDパッケージングの断面画像から白色LEDの明るさ(全光束)の予測を行い,性能を比較した.白色LEDパッケージングの断面画像には,蛍光多量やレンズ形状などの白色LEDの明るさを決定する重要な設計情報が含まれる.CNNに断面画像を学習させて全光束を予測し、学習過程におけるCNNの特徴マップから,パッケージングの構造解析の可能性を示した.加えて,青色発光素子の放射束の情報を用いて予測精度を改善することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シミュレーションで得られたデータに加え,共同研究先の企業などの協力もあって,多くの実サンプルのデータを学習データとして利用することができた. 機械学習によって,白色LEDパッケージングの設計パラメータから,白色LEDの光学特性を予測することが可能であることを確認することができた.また,CNNによる白色LEDの画像からの光学特性の予測に成功し,CNNの画像認識能力を確認することができた. これらの結果をLEDパッケージングの構造解析と最適設計手法に結び付ける方法を確立する必要があるが,3年間で実現することはできなかった.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,各種設計パラメータを変えたサンプルの学習データを増やしていく必要があるが,実サンプルのデータだけではデータ数に限界があるため,シミュレーションのデータを多く追加して,学習データの数を増やしていく必要がある.さらには,光学特性の予測手法をLEDパッケージング構造の解析手法に発展させることで,最終的に最適設計手法を確立する必要がある.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は新型コロナウィルス感染対策のため,学会,国際会議への出席,共同研究先の企業や海外の大学への出張に大きな制限があり旅費の使用がなかった.また,外部の研究補助員を雇うこともできず,人件費の使用もなかった.そのため,研究の進捗に支障が生じてしまい,物品の購入も行うことができなかった. 研究期間を次年度まで延長し,専門分野が機械学習のポスドクを雇用することで研究を加速させる予定である.
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