研究課題/領域番号 |
19K04147
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
佐藤 恭一 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (30262405)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 機能性流体 / 界磁機構 / 省動力 / 磁気粘性流体 / 制御 |
研究実績の概要 |
磁気粘性流体(以下MR流体)は,そのレオロジー特性である粘性が外部から印加された磁界の強さに応じて変化する機能性流体である.MR流体の粘性は,外部磁界により高応答で制御できるので,MR流体を作動流体とする可変減衰力ダンパーや,MR流体の粘性変化による契合力,制動力を利用したクラッチ,ブレーキなどが実用化されている.本研究では,MR流体の印加磁界の形成には電力消費を要する電磁石は用いずに,永久磁石とMR流体に磁束を導くヨーク(継鉄)との相対位置の変化で印加磁界を制御する.永久磁石には常にヨークへの吸引力が作用しており,永久磁石の保持と移動には動力を必要とするが,この吸引力を機構内部 で受動的に相殺する構造とすることにより,動力を消費することなしにMR流体の粘性を制御する技術基盤を確立し,MR流体を用いたブレーキなどへの適用により,省動力な動力変換・制御システムを構築することを目的とする. 令和2年度(2020)では,永久磁石直動型および永久磁石回転型の非電磁界磁で省動力性能を有する界磁機構の作動原理を明確にするとともに,非電磁界磁機構の具体的な試作と,磁界制御範囲拡大の性能向上を実施した.永久磁石の磁気吸引力の内部機構相殺と磁界制御範囲拡大の両立については,可動子と固定ヨークの磁極形状の設計が重要であることを明らかにした. この界磁機構の考え方を産業装置であるMRFブレーキ,MRFクラッチの共通原理である回転体間のMRFを介した動力伝達に適用し,非電磁界磁による二つの回転円筒間での回転動力伝達を実施し,試験結果よりその性能を評価を評価した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電磁石を用いずに永久磁石の移動のみでMR流体の磁界を制御する界磁機構について,令和2年度(2020)で計画していた永久磁石直動型および永久磁石回転型の非電磁界磁で省動力性能を有する界磁機構の作動原理を明確にするとともに,非電磁界磁機構の具体的な試作と,磁界制御範囲拡大の性能向上を実施した.永久磁石の磁気吸引力の内部機構相殺と磁界制御範囲拡大の両立については,可動子と固定ヨークの磁極形状の設計が重要であることを明らかにした. この成果は,Journal of Robotics and Mechatronicsで公表した(査読あり). さらに,この界磁機構の考え方を産業装置であるMRFブレーキ,MRFクラッチの共通原理である回転体間のMRFを介した動力伝達に適用し,非電磁界磁による二つの回転円筒間での回転動力伝達を実施し,試験結果よりその性能を評価を評価した.
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度(最終年度)は,これまでの知見を駆使して,まだ報告された例のないMRFの契合力に基づくワンウェイクラッチ(一方向回転で契合して動力伝達し、逆回転ではフリー回転となるクラッチ)を具体化するとともに,3年期間の研究のまとめとして,非電磁界磁式のMRFブレーキ,クラッチ,ワンウェイクラッチおよび回転円筒動力伝達により、省動力な動力変換・制御システムを構築する.
|