| 研究課題/領域番号 |
19K04152
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| 研究機関 | 足利大学 |
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研究代表者 |
桜井 康雄 足利大学, 工学部, 教授 (70205813)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 油圧 / ピストンポンプ / 圧力脈動 / 圧力脈動抑制素子 / 数学モデル / １Ｄシミュレーション / タグチメソッド |
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| 研究実績の概要 |
成熟した油圧システムのブレークスルーを実現するために、本研究室で提案・開発している油圧システム用圧力脈動抑制素子の開発に寄与する研究を実施する。
油圧システムで発生する圧力脈動を抑制するために幅広く利用されているアキュムレータは、定期的な保守点検、取り付けスペース確保等の問題がある。申請者らは、これを解決するため、配管にインラインで取り付け可能で配管上部に取り付けスペースを必要としない単純な構造を有する圧力脈動抑制素子を提案・試作し、良好な性能が得られることを実験的に明らかにした。しかしながら、その理論的な理由付けが明らかにされていないのが現状である。
そこで、本研究では、周波数応答試験、コンピュータシミュレーションおよびタグチメソッドを利用し、この素子の1Dの数学モデルを導出することにより理論的な理由付けを行うことを目的とし、この素子の系統的な設計手法確立の契機を得ることを試みる。
2019年度は、①提案する圧力脈動抑制素子の実験ベースでの線形モデルの導出、②非線形特性を含む1Dの数学モデルの導出、③この素子のパラメータの最適化を行うために使用するタグチメソッド用の実験データの収集を開始することを目標に研究を遂行した。その結果、①は実施を開始する程度にとどまったものの、②および③は以下の通り、当初の計画を超えて進展した。
②については、提案した数学モデルによるシミュレーション結果と実験結果の比較から、この数学モデルにより、圧力脈動をこの素子により小さくすることができるという傾向は一致することが明らかとなった。③については、この素子の主たる4種類の設計パラメータを変化させた72ケースの実験が完了し、タグチメソッドによる解析を実施した。その結果、最適なパラメータの組み合わせが明らかとなり、そのパラメータを持つ素子による実験から圧力脈動を約50％に抑制できることを明らかとした。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、研究概要で示した通り、非線形特性を含む1Dの数学モデルの導出とその精度の評価、および、72ケースの実験データを用いたタグチメソッドによる設計パラメータの最適値の導出が完了し、そのパラメータが性能向上に寄与することも実験的に明らかにすることができた。これらに関することは、当初スケジュールより大幅に進展している。
しかしながら、提案する圧力脈動抑制素子の実験ベースでの線形モデルの導出については、上記2つの課題に集中したため、計測機器の立ち上げと解析方法の確認を実施したのみであった。
このような現状を踏まえると、本研究は、(2)の評価になると考えられる。
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| 今後の研究の推進方策 |
2020年度は、①FFTアナライザーを用いた実機の周波数応答試験により圧力脈動抑制素子の線形モデルの導出、②その線形モデルの情報から2019年度に導出した1D数学モデルの見直しを行いシミュレーション精度の向上を試みることを目標に研究を遂行する。
①については、2019年度計測機器の立ち上げと解析方法の確認が行われているため、順調に計画を遂行できるものと考えている。さらに、2019年度は、タグチメソッドの解析に際して72ケースの実験を実施した。この手法の実施に際して、実験回数を減らすことを目的として、疑似パラメータを導入することを検討してみたい。ここで得られた知見は、本研究で開発している素子の最適パラメータを実験的に求める際の効率的な手法の確立に繋がるものと考えられる。
また、2019年度に得られた研究成果を2020年10月に開催される日本フルードパワーシステム学会主催の国際シンポジウムで発表予定であったが、これが約1年延長された。そこで、2019年の研究成果を油圧関係の研究を主に扱っている国際的なジャーナルに投稿することを試みる。なお、延長された国際シンポジウムには、2020年度に得られた成果を主として発表する予定である。
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